研究課題/領域番号 |
21H01284
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
石田 忠 東京工業大学, 工学院, 准教授 (80517607)
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研究分担者 |
金子 真也 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (10399694)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 細胞融合 / マイクロ流路 / マイクロスリット / 指向性進化 / 層間接続 / 紫外線照射 / 淘汰 / マイクロ電極 |
研究開始時の研究の概要 |
全細菌の99%以上は培養ができない難培養細菌であるため、人類は細菌の持つ様々な特性を活用できずにいる。この特性を活用するため、難培養細菌の特性を易培養細菌に移植するデバイスを開発する。難培養細菌DNAを細菌サイズのリポソームに内包し、易培養細菌と低ダメージで細胞融合することで、難培養細菌DNAを持つ融合細菌を創り出す。この融合細菌に難培養細菌の特性を発現させるため、特性無しでは生存できない種類のストレスを複数強度で一括印加することで、特性を発現した融合細菌のみを生き残す。このストレスの一括印加を繰り返し、特性を高発現した融合細菌を選び出す。
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研究実績の概要 |
本年度は、細胞融合に必要な、①プロトプラストの電気的細胞融合、②プロトプラストの細胞比制御、③薬剤濃度による一括淘汰、④デバイス内突然変異に関する技術開発に取り組んだ。 ①プロトプラストの電気的細胞融合:枯草菌のプロトプラストに対して電気的細胞融合を行った。電界、電圧、総パルス印加時間について破裂割合の条件探索を行った。破裂割合を50%程度に調整することで、電極間での細胞融合に成功した。 ②プロトプラストの細胞比制御:細胞比を制御するため、単一プロトプラストをスリットに吸引捕捉し、吸引圧を上昇することでプロトプラストを変形し、一つずつチャンバに導入する技術を提案した。デジタルミラーデバイスを用いた直描により、高さ1.8 μm幅1.0 μmのスリットを形成した。このスリットに対し、吸引圧をゼロから徐々に上昇すると、300 mbarを超えると単一プロトプラストがスリットに流れて捕捉され、340 mbarに到達するとスリットを抜けてチャンバに導入できた。 ③薬剤濃度による一括淘汰:薬剤濃度による一括淘汰のために薬剤濃度の異なる液滴を液滴輸送デバイスに導入するデバイスを提案した。異なる薬剤濃度液を形成する濃度勾配流路と液滴輸送デバイスは3次元的に接続する必要があるため、層間接続流路を開発した。直径200μmの層間接続流路により接続したところ、決壊圧だけで液滴サイズを制御することが困難であったため、層間接続流路上部に空圧バルブを実装した。これにより、10 nL級の液滴のサイズばらつきを1%以内で形成可能となった。 ④デバイス内突然変異に関する技術開発:液滴内の細菌に紫外線を照射し、細菌に突然変異を誘発して再び成長するための技術開発を行った。PDMSチャンバ内に形成した大腸菌懸濁液滴に波長254 nmの紫外線を照射したところ60秒程度の照射が望ましいことが分かった。さらに、大腸菌が紫外線ダメージ後の倍加時間が大幅に長くなることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標にした計画をおおむね実現できたから。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、研究を実現する上で必要な要素として、①プロトプラストとリポソームの電気的融合、②薬剤濃度による一括淘汰、③細胞融合流路と指向性進化流路の接続といった技術開発に取り組む。 ①プロトプラストとリポソームの電気的融合:プロトプラストと同サイズのリポソームを形成する。その上でプロトプラストとリポソームの個数の比を制御し、電気的な融合を試みる。 ②薬剤濃度による一括淘汰:薬剤濃度勾配を指向性進化マイクロ流路に層間接続した三次元マイクロ流路デバイスを作製する。指向性進化マイクロ流路内に異なる薬剤濃度の液滴を形成し、細菌懸濁液滴と混合して淘汰圧を印加する。これにより、薬剤濃度の異なる液滴を一括して形成する技術を開発する。 ③細胞融合流路と指向性進化流路の接続:①の細胞融合流路と②の指向性進化流路を接続するために、親水性勾配を用いて①→②に液滴が自律的に移動する接続技術を開発する。接続技術としては、親水性面積と疎水性面積の割合を連続的に切り替えることで、親水性勾配を形成し、その上にのった液滴が親水性の強い領域に輸送される技術を流路間に設置する。
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