研究課題/領域番号 |
21H01323
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
片山 正昭 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (60185816)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 光無線 / 多元接続 / 時空間信号処理 / 非線形時空間信号処理 / multi-userMIMO / 時空間ダイバーシチ / 階層化通信路 / MU-MIMO / 非線形時空間信号処理方式 / MIMO |
研究開始時の研究の概要 |
工場のような大規模屋内空間の多地点からの情報を,非同期的に光無線技術によって収集するシステムにおいて,各送信機に複数の送信LED,受信機には複数の光電変換素子からなる受信アレイを複数設置した「階層化多次元空間多重通信路」を考え,その特徴を活かした「時空間多元接続符号化方式」と「非線形時空間信号処理方式」により,遠近問題を伴う非直交多元接続の高性能化を実現する手法について理論と実験によりその性能を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究課題は,工場のような大規模屋内において,多地点から非同期的に送信される情報をリアルタイムで収集するシステムを,電磁干渉の影響を受けにくくセキュリティにも優れた光無線で実現するための基盤技術を確立することを目的とする.前年度までに,このようなシステムにおいて複数の光信号を分離しそれぞれを復調する多元接続方式として「時空間多元接続符号化方式」を提案し,その有効性を理論解析によって確認してきた.
本年度では,この成果を踏まえて,実験により性能評価を実施した.具体的には,机上に高さ1m,底面0.9m × 0.6mの光無線実験用の設備を構築し,その天井部の4隅に基地局受信機に受光器を分散設置し,床面に,2台の送信機を置いた.この送信機はそれぞれが,角度を持って設置された(角度ダイバシチ)2つの発光素子を有するものである.実験では,1台の送信機位置を固定し,もう1台の送信機位置を変化させて,通信誤り率の計測をおこなった.その結果,適切な角度設定によりほとんど(97%以上)の位置で,2台の送信機の信号の分離と復調(ビット誤り率≦0.1%)が実現できることを実験的に確認した.
また,理論検討では,複数の光電変換素子を有する受信アレイを複数分散設置した基地局受信機において,受信アレイの光電変換素子を同一平面ではなく,角度をもって設置する角度ダイバシチを行うことで,特性改善が図れることを明らかにした.この成果は,IEEEの通信ソサエティ主催の国際会議PIMRCで採択され発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は,令和4年11月までに,時空間多元接続符号化方式基礎理論解析,通信実験装置基礎検討、通信実験装置試 作を行い,令和5年3月までに,予備実験、装置改造、追加実験、成果取りまとめを行う予定であった.その後,令和4年10月,通信実験装置基礎検討の結果,当初の想定に反し,通信実験装置試作を行うためには,光学特性と物理形状の影響を考慮したパラメータ決定が不十分であることが判明した.そこで当年度の研究完了を変更し,予算の一部を令和5年度に繰越した.これにより,当初期待していた成果を得る事ができたため,研究の進捗は,「おおむね順調に進展している」と判断する.
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今後の研究の推進方策 |
本年度構築した光無線実験用の設備による通信性能測定を継続する.また受光器のアレイ化,送光器の発光ダイオード数の増加により,性能の向上を図る.さらに各受信アレイが複数の光電変換素子を持つような場合に,各アレイで判定を行う場合と,全光電変換素子の出力を一括して処理する方式の性能を実験的に比較する.理論解析においては,送受信アレイの多素子化の効果や,複数受光器が遠近問題を伴う状況でカオス多元接続に代表される多値変調を用いることによる効果の検討を行う.
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