研究課題/領域番号 |
21H01329
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21020:通信工学関連
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
谷澤 健 玉川大学, 量子情報科学研究所, 教授 (10709489)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | 物理レイヤ暗号化 / 無線通信 / 光ファイバ通信 / ミリ波 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,超スマート社会を支える通信のセキュリティ向上のために,光量子雑音の存在により信号の盗聴を直接的に防ぐ物理レイヤ暗号化を,光有線と電波無線が統合した通信システムにて実現することを目指す.光ヘテロダインを用いた提案手法により,これまで光の周波数にてのみ有効であったこの暗号化を電波帯へと発展する.光とミリ波の信号をシームレスに暗号化する実験を行い,ギガビット毎秒以上の高速かつ安全な通信を実証する.また,安全性と通信性能の関係を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究では,超スマート社会を支える将来の通信システムのセキュリティ向上を目指して,不変・不可避な光の量子雑音の存在により信号の盗聴を防ぐ物理レイヤ暗号化を,光有線と電波無線が統合した通信システムにて実現することを目的としている.従来周波数の高い光波においてのみ定量的な安全性保証が実現可能とされてきたこの物理レイヤ暗号化を,申請者が独自に提案した光ヘテロダインを用いた手法により,電波帯のマルチキャリア無線通信に展開する.2022年度(二年目)は,直交周波数分割多重(OFDM)物理レイヤ暗号化多値信号の光伝送と光電変換による電波帯での量子雑音マスキングの実験および理論検討を行うことを計画した. 本年度は,昨年度に明らかになった光ファイバ伝送によるペナルティを軽減するために光強度変調器をプッシュ・プル駆動することを検討した.まず送信側のDA変換の分解能がどの程度必要になるかを算出した.その結果,十分なDA変換の分解能を確保するためには,信号帯域を数GHz程度まで狭くする必要性が生じた.そこで,周波数利用効率の高い直交振幅変調による暗号化を新たに導入した.昨年度の理論検討を発展させて,直交振幅変調において安全性を評価する式を導いた.これにより,実験における各種パラメータをどのように設定すれば所望の安全性が実現できるかが明らかになった.実験では,これらのパラメータを用いてOFDM多値直交振幅変調光信号を発生し,10km程度の光ファイバ伝送を行った.フォトディテクタで受信し,電気中間周波数帯で量子雑音マスキングによる暗号化を実現した.暗号の復号を行い,伝送によるペナルティが無視できるほど小さくなることを実証した.さらに,光強度変調器を直接変調レーザに置き換えて,より簡便な送信機構成でも同様の結果を得られることを実証した. 以上の成果を光ファイバ通信分野の代表的な国際学会で4件発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
二年目に計画していた光ファイバ送受信による暗号化の実験を年度の前半に実施し,昨年度に明らかになった光ファイバ伝送による信号品質への影響を改善することができた.そこで,年度の後半は,送信側の構成を簡素化するために直接変調レーザを用いるという発展的な課題に取り組んだ.より簡便な構成にもかかわらず,短距離の光ファイバ伝送では同等の通信性能を実現することができた.このように当初計画を上回る進捗を得ることができている.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度(三年目)は,量子雑音マスキングにより暗号化した直交周波数分割多重(OFDM)信号の光ファイバ伝送とミリ波帯無線伝送が,光ヘテロダインを用いた独自の手法によりシームレスに結合できることを実証する.ここまで進めてきた検討を用いてシステムの設計と実験評価を行い,有線・無線トータルで高い安全性と十分な信号品質が両立することを示す.最終年度であることから,これらの成果を体系的にまとめて,論文誌への掲載を目指す.
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