研究課題/領域番号 |
21H01336
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
前橋 兼三 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40229323)
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研究分担者 |
生田 昂 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80805929)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | ウイルス / グラフェン / 電子素子 / モニタリング |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルス等の感染症は、感染者からの飛沫が主な感染経路である。そのため、室内等の大気中に浮遊するウイルスをその場で特異的センシングすることは非常に重要である。本研究では、炭素2次元物質であるグラフェンをチャネルとした電子素子を作製し、その表面上に設計したDNAを化学修飾する。さらに、この素子を用いることにより、大気中に浮遊するウイルスを特異的に認識し、電気的にセンシングを行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、室内等の大気中に浮遊するウイルスを特異的にその場でセンシングすることを目的として、「グラフェンをチャネルとした電子素子を作製し、そのグラフェンチャネル表面上に設計した1本鎖DNAを化学修飾することにより、大気中に浮遊するウイルスを特異的に認識し、電気的にセンシングする」ことである。 2022年度では、インフルエンザウイルスのスパイクタンパク質であるヘマグルチニンの液相中での検出を、グラフェンデバイスを用いて行った。その結果、DNAの配列により、ヘモグルチニンの検出感度が向上することを明らかし、さらに、検出感度が向上したDNAの配列を用いて、溶液中のカリウムの濃度を変化させた場合に、DNAの構造がどのように変化し、さらにヘモグルチニンの検出感度にどのような影響を与えるのかを調べた。 一本鎖DNAをフォールディングする際、KClの濃度を変化させ、円二色性(CD)測定でDNAの立体構造を評価した。KClの濃度が高い場合にはG4構造が形成されるが、KClの濃度が低くなるにつれ、DNAのランダム構造が増加することが分かった。G4構造の割合異なる種々条件でフォールディングしたDNAをグラフェンチャネルに修飾し、溶液中でヘマグルチニンの検出を行った。その結果、G4構造の割合が多いほど、より低濃度のヘマグルチニン検出ができることが明らかになった。これは、DNAのG4構造とヘモグルチニンの結合力がより強いためであると考えられる。しかしながら、G4構造を形成したDNAを用いた場合にも、KClの無い溶液環境下ではG4構造が崩れ、ヘマグルチニンの高感度検出が困難であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNAの配列、および、溶液中のKClの濃度を変化させ、グラフェン電界効果トランジスタのチャネルにDNAを修飾することによって、溶液中でのヘモグルチニンの検出を行ってきた。そのため、おおむね順調であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、グラフェンチャネル上に3次元構造を有するDNAを修飾する際、修飾方法、または、修飾条件を変化させることによって、グラフェンチャネル上のDNAの密度を変化させる。次に、DNAの密度がヘモグルチニンの検出感度にどのように影響を与えるのかを調べる。さらに、カチオンの濃度、DNAの密度を最適化することにより、ヘモグルチニンの高感度検出を目指す。 上記の条件で得られたDNA構造を有するグラフェンデバイスを用いて、大気中でのヘマグルチニンの検出を試みる。まず、DNAを修飾したグラフェンデバイスに、大気中でヘモグルチニンを含んだ溶液を垂らし、大気中でヘモグルチニンを検出可能か調べる。さらに、インフルエンザウイルスを使用して同様の実験を行い、インフルエンザウイルスの大気中での検出を目指す。
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