研究課題/領域番号 |
21H01341
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21030:計測工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
赤羽 英夫 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (00552077)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | EPRイメージング / 可搬型イメージング装置 / 電子スピン共鳴 / EPRイメージング装置 / デジタルEPR / 分子イメージング / In vivo 生体イメージング / アレイ型マグネット |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、小動物を対象としたフリーラジカル分子イメージングを可能にする可搬型電子常磁性共鳴イメージング(EPRI)システムを開発することである。小型で可搬可能な装置は、特定病原菌未感染(SPF)環境下の動物実験施設や放射線照射施設等の特殊な条件下のベンチトップに導入できることから、EPRI技術の生命科学研究への応用と普及が期待できる。本研究では、デジタルEPR分光技術を駆使した操作性に優れたイメージング用コンソール、小型軽量な3次元アレイ型マグネット、小型軽量な磁場制御用電源などの開発により世界で初めての可搬型デジタルEPRIシステムの実現を目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、デジタルEPR分光技術を駆使した操作性に優れたコンソールとEPR用マグネットの開発を進めた。測定対象であるマウスなどの小動物の動きにより、小動物を挿入した共振器において反射波が発生し、受信部を飽和させる問題がある。この現象を軽減するために、コンソールに反射波抑制制御機構を実装している。この自動制御の安定動作には、反射波の位相調整が必要であり、これまで手動で入力していた。反射波抑制制御で用いられる制御信号は、コンソールにおいてAD変換された反射波から位相シフトを行い生成される。そこで、反射波の位相シフトを最適化する方法として、2段階の方法を提案した。まず送信波のRF周波数を一定に増加させるとともに、受信した反射波の位相シフトを増加させ、反射波抑制制御が動作する周波数と反射波の位相シフト値を同時に粗く探索する。次にRF周波数を固定した条件下で反射波の位相シフト値をEPRスペクトル取得毎に変調し、その時の反射波の値が少なくなるように位相シフト値へフィードバックする方法を採用した。その結果、テスト試料を用いたEPR計測において、自動調整による位相シフト値の最適化が可能となった。また、RF周波数が変動した場合に位相シフト値も変動することを確認した。EPRイメージング用のマグネットについては、ネオジウム磁石片の配置方法を変更することで、均質な磁場の領域を広げることが可能となった。具体的には、正方形を多数のより小さい正方形にで分割し、その頂点に磁石片を配置することで平面に均等に磁石片を並べる方法から、六面体を多数の正三角形で分割した頂点に磁石片を配置する方法に変更した。また、外側に配置している磁石片の長さを変更することにより、EPRマグネット中央に均質な磁場領域が拡大することを磁場シミュレーションにより検証し、実際にその構造を有するEPR用マグネットの試作を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通りに進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き操作性に優れたイメージング用コンソールの開発を実施する。測定対象であるマウスなどの小動物を共振器に挿入した場合、 体重や測定部位の違いにより共振周波数がずれる問題がある。そのため、測定対象を変更すると送信周波数を調整する必要がある。現状では送信周波数を掃引しながら共振器で生成する反射波の抑制制御を作動させ、受信用ADCにおける入力信号がゼロとなる送信周波数を探す方法を採用している。しかし、調整可能な周波数範囲に共振周波数が入っていない場合は、この測定方法では周波数の探索に時間がかかり、調整不可との判断が難しい。最終的に共振器の接続をEPRI装置から切り離し、ネットワークアナライザに変更することで反射特性を取得し、共振周波数が 調整範囲内にないことを確認する。しかし、この作業は操作性に優れていない。そのため、共振器の接続を変更することなく共振器の反射特性を取得することが望ましい。現状では、受信アンプのゲインが60dBと大きいことから、反射特性を取得する際に入力信号が受信アンプにおいて飽和する問題がある。そこで、受信アンプをバイパスする回路や、受信アンプの動作を停止することで、反射波を飽和せずに測定できるように RFブリッジ回路を改良する。昨年度に行ったマウス腹部イメージングにおいて、共振器の位置による受信感度の違いが見られた。そこで、RFシミュレータを用いた磁場解析を行うことで、共振器のコイル部分に発生する磁場分布を調べ、コイルの構造を最適化する。また、実際にテスト用試料を用いてラジカル分子の分布を画像化し、磁場解析の結果と比較することを考えている。
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