研究課題/領域番号 |
21H01366
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21050:電気電子材料工学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
黒澤 昌志 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (40715439)
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研究分担者 |
片瀬 貴義 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (90648388)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
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キーワード | IV族混晶 / 結晶成長 / バンドエンジニアリング / フォノンドラッグ熱電能 / ゲルマニウムスズ / シリコンスズ / ドーピング / 熱起電力 |
研究開始時の研究の概要 |
IV族混晶(ゲルマニウムスズ)におけるバンドエンジニアリング技術を基軸とし、分担者と共同で見出した低温・巨大熱電能の発現温度を室温化する、そのガイドラインを構築することを目的とする。デバイ温度の高い第三元素の添加や圧縮歪みを印加することで発現温度を室温まで高温化できるか検証する。最終的には、フォノンドラッグ熱電能(格子振動に電子がひきずられて発電する現象)を司っている結晶構造、電子・フォノン構造を明確化するとともに、実デバイスにより電子冷却効果を検証する。シリコン集積回路上に混載できれば、CPUの抱える発熱の問題解決にも貢献できるなど、産業応用の観点からも先進的な研究領域になると考えられる。
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研究実績の概要 |
本年度得られた主な成果を以下に纏める。
●熱起電力・電気伝導率同時計測システムの環境整備:昨年度導入した計測システムおよび室温復帰ヒーターを遠隔操作できるよう計測プログラムの修正やネットワーク環境を整備した。PCやスマートフォンからでも随時生データを確認し、測定条件を変更できるようにするなど効率的に測定できるよう改善した。
●様々なIV族混晶薄膜へ低温熱電物性評価:表面清浄化した高抵抗 Si(001)基板上に、RFスパッタリング法を用いてSi1-xSnx薄膜(Sn 組成:3%、膜厚:55 nm)をエピタキシャル成長した。リンをイオン注入後(加速電圧:10 kV、ドー ズ: 7.5E14 cm-2)、窒素雰囲気中で熱処理(600 °C、1 min)を施し、下地基板からの結晶回復を試みた。Hall 電子濃度が1E19 cm-3程度のSi1-xSnx薄膜を選別し、熱起電力(S)測定を行った。これまでの報告では、高濃度にドーピングされたSiバルク単結晶では、|S|が温度の減少と共に単調減少している。一方、Si1-xSnx薄膜では、フォノンドラッグ起因と考えられる巨大な |S|のピークが25 K付近に得られ、その裾野は300 Kにまで及ぶ。また興味深いことに、Ge1-xSnx薄膜で得られた|S|のピーク位置と比較し、約10 K室温側にシフトしている。これは、Si1-xSnx 薄膜あるいは下地に用いたSi基板がより高いデバイ温度を有することを反映しているためだと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、計測システムの環境整備、様々なIV族混晶薄膜の形成ならびに低温熱電物性の計測が順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに形成した様々なIV族混晶薄膜の熱電物性評価の結果を踏まえ、巨大熱電能の発現温度を室温化するガイドラインを構築するとともに、実デバイスを作製により電子冷却効果を検証する。
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