研究課題/領域番号 |
21H01388
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
植田 研二 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (10393737)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
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キーワード | グラフェン / ダイヤモンド / 光伝導度 / メモリスタ / 光記憶 / 光認識 / デバイス / 光デバイス / 脳型記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近年申請者らが新規に見出した垂直配向グラフェン/ダイヤモンド接合 における巨大光伝導度変調現象に関して、その発現機構について接合界面の炭素構造や結合状態変化の観点から明らかにすると共に、その特徴的な光伝導特性を生かした新規光デバイスの開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、垂直配向グラフェン(VG)/ダイヤモンド接合における巨大光伝導度変調現象の発現機構の解明と、その特徴的な光伝導特性を生かした新規光デバイスの開発を目的としている。第2年度に当たる本年は、(1) VG/ダイヤ接合の光伝導度変調現象の発現機構と密接に関連するグラフェン/ダイヤモンド界面構造の解明と、(2) 接合の脳型光記憶特性を生かした画像認識デバイスの作製を試みた。 (1)と関連して、共同研究先である名大グループによるVG/ダイヤ接合のTEM測定から、ダイヤモンド基板側で (111)面ファセットがジグザグに現れ、そこにグラフェン基底面がダイヤモンド(111)面に平行に結合する形で界面が構成される界面形態を取る事が初めて明らかとなった。また、VG/ダイヤ接合界面における炭素K殻吸収端スペクトルのSTEM-EELSスペクトラムイメージデータから、σ*結合側に欠陥成分が現れる事も明らかとなった。これは界面グラフェンの酸化等が原因でsp3欠陥が導入され、VG/ダイヤ接合の光伝導特性が変化するという我々の動作機構モデルを支持する結果であると思われる。 また、(2)と関連して、CVD成長条件(成長温度、界面グラフェン成長時の酸素導入比等)を制御する事で、光記憶容量の異なるVG/ダイヤ接合を作製できる事が分かった。特に、光記憶容量の小さなVG/ダイヤ接合(記憶緩和時間=1.9s)の光伝導特性を用いる事で、簡単な文字の認識(0~9の数字の識別)が可能である事を示す事ができた。現在これらの成果に関して、論文投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状として、上述の様に、本研究の目標であるVG/ダイヤ接合の特異な光伝導特性の発現機構について、共同研究先とのTEM測定により明らかにできつつある。また、VG/ダイヤ接合を用いた新たな光デバイスとして光認識デバイス(文字認識デバイス)の作製も行えており、研究計画は順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までの研究により、VG/ダイヤ接合の特異な光伝導特性を生かした光検出・記憶デバイス(脳型記憶イメージセンサ)及び光認識デバイス(文字(数字)認識デバイス)の作製ができた。しかし、これらのデバイスの画像イメージ等の分解能は低く、改善の余地がある。次年度はより集積度を向上させた高分解能デバイスを作製し、手書き文字等、より複雑な光情報の検出・認識に取り組むと共に、VG/ダイヤ接合の動作機構に関して明らかにしたい。
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