研究課題/領域番号 |
21H01392
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
芹田 和則 大阪大学, 経営企画オフィス, 准教授 (00748014)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
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キーワード | テラヘルツ / 非線形光学結晶 / メタマテリアル / μTAS / 微量分析 / マイクロタス / DNA / メタアトム / 微小流路 / 非線形光学 |
研究開始時の研究の概要 |
テラヘルツ(THz)バイオセンシングは、生命機能に関する重要な分子情報を非侵襲・非標識で検出できる手法として注目されている。しかし、溶液中でのTHz信号の大きな減衰と回折限界から、微量溶液を高感度に計測・分析することが難しく、近年のマイクロ化学チップの発展と比較してその技術開発が遅れている。本研究では、非線形光学結晶中で生成する微小且つ高輝度THz点光源を利用したTHzマイクロタス(THz-μTAS)を開発し、微量な生体関連試料の高感度・多次元THz分光分析を通して、THz光を利用した新たな生化学分析基盤技術の創製と医療分野への応用に貢献することを目的とする。
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研究実績の概要 |
ピコモルオーダーの溶液量でフェムトモルオーダーの検出感度を誇るコンパクトなテラヘルツバイオチップの機能性の向上と、生体関連試料の微量分析を行った。チップはGaAs製で、テラヘルツ点光源と5個のメタアトム(メタマテリアルの基本素子)の直列アレイから構成されている。そのセンサー領域(メタアトムアレイ領域)は髪の毛断面5個分相当である。メタアトム構造には微小なキャビティギャップを有するストリップライン(I-design)構造を採用した。このメタアトムアレイの1つを局所テラヘルツ点光源で励起すると、パーセル効果に基づく、ギャップ領域での顕著な電界閉じ込めが起こり、これが隣接するメタアトムにも波及していくことが分かった。これにより、これまでのFano共振型のメタアトムアレイ(5×5個のメタアトムを使用)と比較して感度が2倍以上向上することが分かった。したがって感度向上とコンパクト化を同時に達成することに成功した。これにマイクロ流路を作製することで、流路内をフローする溶液中のイオン、糖、アルコール物質を微量センシングできた。チップ性能としても従来のFano共振チップと比較して1桁の向上を確認した。これをテラヘルツマイクロタスとして展開している。 機能性の向上については、以下の点で進展があった。夾雑物中からの選択的な溶質センシングは、シンプルな構成では難しいことがわかった。この解決に向けて、電気泳動技術を取り入れることで混合溶液中に含まれる溶質成分の高感度かつラベルフリーな分離分析ができることが分かった。また、これとは別に、当初から行っていた透過測定よりも、反射測定の方がより効率的に分析ができることが分かってきた。一方、生体関連試料の微量分析では主にサンプルのスペクトルからの評価を行っている。一部の細胞サンプルとDNAサンプルにおいてそれらの変性・変異を示唆する興味深い変化が観測され、慎重に計測と分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本格的なテラヘルツマイクロタス化に向けて、周辺技術を着実に整備できている。生体関連試料の化学反応や指紋定量は、細胞やDNAサンプルにおいて、それぞれのサンプルの特性にかかわる特異な変化を、微小ではあるが観測することができている。以上の点からおおむね順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
生体関連試料の化学反応や指紋定量は、引き続きデータの再現性チェックと計測の高感度化(メタアトムデザインの再設計)を取り入れ、慎重に分析を行っていく。データ収集と周辺計測基盤が整備でき次第、本格的なテラヘルツマイクロタスとしてチップ化する。
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