研究課題/領域番号 |
21H01396
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分21060:電子デバイスおよび電子機器関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 輝光 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (20423387)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
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キーワード | 磁壁移動型メモリ / マイクロマグネティックシミュレーション / スピントランスファートルク / スピン偏極率 / 磁性細線 / スピン軌道トルク |
研究開始時の研究の概要 |
磁壁移動型メモリは個体メモリとハードディスク双方の利点を有する安価かつ高性能な将来の情報記録デバイスとして期待されている。本研究では磁壁移動を利用した高速で動作する次世代の超高密度情報記録技術実現のため、磁気と電子スピンとの関係を決定付ける物質定数を独自の方法で見積もり、磁壁移動の基礎物理を定量的に明らかにするとともに将来の超巨大容量情報記録デバイスの要素技術を確立する。また、垂直磁化膜における磁壁移動実験とこれを模擬したマイクロマグネティックシミュレーションを併用し、磁壁構造変化に伴う磁壁移動速度の不安定性を解消するとともに磁壁ダイナミクスを直接的に観測する。
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研究成果の概要 |
マイクロマグネティックシミュレーションとスピントランスファートルクによる磁壁移動実験を併用してアモルファス薄膜におけるスピン偏極率を推定した。TbおよびCoの極薄い薄膜を積層して垂直異方向性を有する磁性細線をリソグラフィー法を用いて作製し、これに電流を流して磁壁移動実験を行った。実際に作製した薄膜の磁気特性を元にマイクロマグネティックシミュレーションを行い、磁壁移動に必要な電流速度を求め、実験によって得られた磁壁移動に必要な電流密度からスピン偏極率を推定したところ、Tb/Co膜厚比が0.3/0.7の場合においてスピン偏極率は0.05と見積もられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
磁性体のスピン偏極率はスピントロニクス分野では極めて重要な物理定数である。スピン偏極率はトンネル磁気抵抗効果の測定で一般に求められるが、希土類/遷移金属から成るアモルファス磁性薄膜は熱に弱く、トンネル磁気抵抗効果測定素子の作成に必要なミリングプロセスを経ると磁気特性が大きく変化してしまうため、スピン偏極率の推定が困難であった。本研究では磁壁移動実験とマイクロマグネティックシミュレーションにより、スピン偏極率を求める新たな手法を提案し、アモルファス材料であるTbCo薄膜のスピン偏極率を推定した。TbCo薄膜のスピン偏極率に関する報告例はこれまで殆どなく、デバイス開発に大きく寄与すると思われる。
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