研究課題/領域番号 |
21H01405
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
岩波 光保 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (90359232)
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研究分担者 |
川端 雄一郎 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (10508625)
笠谷 貴史 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), グループリーダー (90373456)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 大水深海域 / コンクリート / 水圧作用 / 外力作用 / 水の移動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、水圧作用下にあるコンクリートが外力を受けた時の挙動を明らかにすることである。研究では、まず、高水圧載荷装置での要素実験に加えて、水圧作用下での外力負荷が可能な実験装置を用いたコンクリートの水圧拘束圧縮載荷試験を行うとともに、コンクリート中の微小破壊の進展をX線CTスキャンなどで追跡することで、大気中にあるコンクリートに外力が作用した時との力学挙動の違いを明らかにする。これらの室内試験で得られた知見の妥当性を検証するため、実際の深海底でコンクリートの載荷試験を行い、水圧下にあるコンクリートに生じる応力、変形、損傷を現地計測する。
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研究実績の概要 |
本研究では、3つの項目について検討を行った。 ①コンクリートの水圧拘束圧縮載荷試験に関する検討:コンクリートの特性を調べるための基礎的な検討として、モルタル供試体に作用させる水圧の昇圧速度と作用回数を変化させる実験を行い、モルタルの含水状態が高水圧作用時のひずみ挙動に及ぼす影響を調べた。その結果、初期より供試体内に水分が存在し、かつ水分移動速度よりも作用水圧の昇圧速度が速い場合、一定水圧作用時でも圧縮ひずみが増加することを明らかにできた。また、水圧の昇圧速度が水分移動速度よりも遅く,最大水圧到達時に水分移動が完了していないと,圧縮ひずみの緩和が生じることを示した。 ②微細空隙構造に着目したコンクリート中の破壊進展過程評価に関する検討:モルタルの曲げ載荷試験を高水圧下(10~40MPa:水深約1000~4000m相当)で実施した。試験では、液状水がモルタル試験体内部まで浸透するように、あらかじめ30分間水圧を作用させた後、水圧が安定してから曲げ載荷試験を行った。その結果、水圧の程度によってモルタルの曲げ強度が大きく変化することを示した。現時点でこのメカニズムは明確にできていないものの、次年度に実施する深海底でのコンクリート部材の曲げ挙動が気中とは異なる可能性が高いことを示した。 ③深海底におけるコンクリートの載荷試験に関する検討:次年度に実施予定の深海底でのコンクリートの載荷試験のための航海の準備として、船舶運航部署および潜水艇運航チームと連携して、機器搭載検討を実施した。深海底でも動作可能な載荷機構に関する検討を行い、次年度の稼働に向けた試設計を行った。現場比抵抗計測については、計測に必要な小型電気探査装置を深海用の探査機器をベースに製作し、送信電流パターンの解析などの検討を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンクリートの水圧拘束圧縮載荷試験については、コンクリートの力学挙動に及ぼす水圧の影響とコンクリートの含水状態の影響に関して有益な知見を得ることができた。これらの成果について査読付論文にまとめることができたことから、この研究項目については、おおむね順調に進展していると判断している。本研究の最終的なゴールである深海底におけるコンクリートの載荷試験については、深海底でも動作可能な載荷機構に関する検討、計測・制御システムに関する検討を進めることができた。チャレンジングなこの研究項目の研究進捗状況としては、概ね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
コンクリートの水圧拘束圧縮載荷試験については、コンクリートの力学挙動に及ぼす作用水圧やコンクリートの含水状態の影響に関して有益な知見を得ることができたことから、今後も継続してデータの収集を継続するとともに、水圧作用下におけるコンクリートの力学挙動と損傷過程の解明を目指す。本研究の最終的なゴールである深海底におけるコンクリートの載荷試験については、深海底でも動作可能な載荷機構や計測・制御システムの目途を付けたことから、次年度実施に向けた周到な準備を進める。
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