研究課題/領域番号 |
21H01411
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松本 高志 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (40301121)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 構造工学 / 土木材料 / 複合材料 / FRP / 生体模倣 |
研究開始時の研究の概要 |
節足動物の外骨格は角皮の多層構造からなり,角皮は一方向に整列したキチン繊維とそれを包むタンパク質の基質材料で作られた層から積層形成されていることが観察されており,これが粘り強い外骨格構造を生み出していると考えられている.この生体構造に着想を得て,人工物であるCFRP(炭素繊維強化ポリマー)積層複合材料による構造部材の脆性挙動の改善と粘り強い特性の獲得という視点から,外寸数cm~10㎝角の箱形断面梁部材の曲げ変形・耐荷の挙動と特性を明らかにし,画像解析も用いて損傷と破壊の形態と機構を明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,生体を模倣したらせん積層CFRPによる構造部材の脆性挙動の改善と粘り強い特性の獲得という視点から,部材の挙動と特性を明らかにし,損傷と破壊の形態と機構を検討することとする.これまでに小規模の試験体で,「構造部材」に対しては「部位」に相当する規模を検討した.本研究では次の段階に進み,生体模倣らせん積層CFRP構造部材を作製して,その挙動と特性を明らかにし,損傷と破壊の形態と機構を検討する.生体の外骨格に相当する部材として閉断面の箱形断面梁を製作して曲げ試験を実施する. 初年度は断面外寸を数cmとした箱形断面梁をプロトタイプとして,製作技術と試験計測の課題解消と実施可能条件の特定を経て,らせん積層CFRP箱形断面梁の挙動と特性を明らかにし,損傷と破壊の形態と機構を検討した.製作技術においては,プリプレグを積層する芯材を割り型とし,真空加圧・加熱成形により試験体を自主製造する手順を確立した.既往の製作は板材であったが今回は閉断面部材であり製作と品質管理の難易度が上がるものである. 初年度の検討を踏まえて,2年度目は箱形断面梁の積層構成を変えた試験体を複数製作し,試験計測および観察を通して,部材の挙動と特性を明らかにし,損傷と破壊の形態と機構を検討した.ポイントとしては,荷重-変位関係及びひずみ挙動,損傷・破壊形態,荷重集中点,座屈,断面つぶれ,に着目した.これらは,ステレオカメラ撮影による三次元デジタル画像相関法により,三次元で面的に変位を計測する方法も活用した.らせん積層CFRPによる箱形断面梁の複雑な四点曲げ変形挙動を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究実施計画を概ね実施できたため,上記の進捗状況とした.
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今後の研究の推進方策 |
2年度目の箱形断面梁の検討と三次元デジタル画像相関法の試用を踏まえて,積層構成,板厚,曲げ・せん断支間長などの変数を変えた試験体を複数製作し,三次元デジタル画像相関法の精度向上と撮影面積拡大を図り,試験計測および観察を通して,部材の挙動と特性を明らかにし,損傷と破壊の形態と機構をより詳細に検討する. また,試験結果については,有限要素解析を用いた検証を行う.古典積層理論に基づいた要素と層間界面を用いてらせん積層の箱形断面梁の挙動を考察する.三次元デジタル画像相関法の解析とも合わせて,梁部材の損傷・破壊挙動を面的に捉えて,ひずみの発生と集中,破壊指標値の変化,層間せん断の集中などを把握する.試験との比較の上で損傷と破壊のメカニズムを考察する.
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