研究課題/領域番号 |
21H01413
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
本田 明弘 弘前大学, 地域戦略研究所, 教授 (60620606)
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研究分担者 |
松田 寿 北海道科学大学, 工学部, 教授 (30595343)
千葉 隆弘 北海道科学大学, 工学部, 教授 (40423983)
久保田 健 弘前大学, 地域戦略研究所, 准教授 (70400405)
内田 孝紀 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90325481)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
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キーワード | 風車 / 後流 / 降雪 / 可視化 / 粒子画像流速測定法 / PIV |
研究開始時の研究の概要 |
風車の後流に関して従来は平均風速の簡易モデルが用いられているが、後流の揺らぎや渦による乱れを含めた高度な観測が求められている。これに対して高価なスキャニングライダーを用いた観測では、空間分解能が数10m程度の平均的スカラー量であり、風車翼先端渦の減衰などの微視的な検討は難しい。 本研究では、風車ロータ近傍の流れを降雪による可視化結果を地上から撮影し流速ベクトルを評価する方法を拡張・改良し、風向に対して追随する風車ナセルに小出力の光源を搭載して撮影を行った画像をPIV処理し、更に風下距離も1km程度まで拡張することで風車後流の正確な挙動を追跡する技術を確立し、風車後流の予測モデルの提案につなげる。
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研究実績の概要 |
2021年度は、以下の項目に関して実施して ①当初計画していた現地実験に用いる機材に関する調達、調整、治具などの製作:撮影機材の仕様見直し及び調達は完了。レーザー投光器の調達及び現地での移動を考慮した治具の設計、製作を完了。レーザー投光器からの円筒状の光源を扇形の平面的な光面に変換する方法に関する試作の結果、偏光板を用いる事で調達も実施できた。 ②現地実験に係る関係者との調整:津軽半島および下北半島における風車の候補を調査し、マイクロ、小型、大型風車の所有者に協力要請を行い了解を得た。ただし、ナセルへの投光器の搭載に関しては風車の安全上の課題があるために、実現可能か否かは継続して議論を進める事とした。搭載が難しいと判断された場合には、タワー頂部付近からの光源照射が可能な代替手段を検討する。 ③予備実験:降雪が例年よりも遅れたために、現地での予備実験の着手に遅れが生じたが、津軽半島のマイクロ風車(出力:5kW)、小型風車(出力:20kW)に関して、タワー基部から投光器で照明を照らした予備実験を実施した。その結果、マイクロ風車では地吹雪で地表に降り積もった雪が低高度での密度が高く、更に風車回転速度が速いために、通常の一眼カメラを用いた可視化の対象としては必ずしも適当ではないことが判明した。また、小型風車(出力20kW)を対象に同様な予備試験を実施したところ、比較的広い範囲で後流が見える可能性があることがわかった。更に大型風車(出力1.5MW)の風車では、積雪により機材の設置ができない状況も判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・小型風車を用いた可視化実験:津軽側で出力20kWの小型風車を対象に予備実験を実施したところ、降雪時の風車までの移動は可能であり、人員的には6人程度で可能であることが判明した。ただし、適切な気象条件を見極めて人員確保し、現地での機材セッティングを行う必要があり、作業手順をあらかじめ周知しておく必要がある。また風車の運転状況を示すSCADAの高速サンプリングは、海外のメーカー側で管理しているために、容易ではない。 ・大型風車を用いた可視化実験:下北側で、比較的平坦な地形に設置された出力1.5MWの風車を選定し、降雪時には積雪により機材を風車まで運搬する事が出来ずに、積雪前に風車近傍に機材を保管する必要があり、さらに除雪された道路からの距離が近い風車を選択する必要があることが判明した。風車所有者と協議の結果、実験対象を当初予定した4-3号機から1-2号機へ変更する事とした。また現地での投光器の電源に関しては、当初予定していたガスボンベの発電機では低温のために機能せず、バッテリーを用意して対応する必要が生じた。SCADAデータに関しては、風車所有者が直接管理しているために入手は可能である事が判明した。
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今後の研究の推進方策 |
・実験対象風車:小型風車(出力20kW)および大型風車(出力1.5MW)とする。なお、除雪済みの道路からの距離、風車近くでの機材保管方法を念頭に選択する必要がある。 ・現地実験の実施可否基準:風向、風速、降雪、落雷の状況を予測して、実験の可否を判断する。 ・現地実験の手順:風向はナセルの方向を見て判断するのが確実であり、風向が変化する場合にはタワー基部からの投光器からの光面を移動する必要がある。その結果カメラとの相対位置も変化するために、撮影時の光面の角度を記録しておく。また、カメラの位置は風向変化によって変えることはしない。 ・ナセルへの投光器搭載:風車の安全性を損なう場合には、タワー頂部付近から光源を水平面で照射する方法を検討する。
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