研究課題/領域番号 |
21H01414
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
齊藤 正人 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40334156)
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研究分担者 |
Goit Chandra 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (10782732)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 基礎構造物 / 応答予測手法 / 大変形領域 / 深層強化学習 / インピーダンス関数 / 杭基礎 / 動的相互作用 / 構造同定 / 非弾性応答 / 単杭基礎 / 群杭基礎 / 非弾性 / 振動数依存性 / 振幅依存性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、地盤と基礎、そしてそれらに支持される構造物の大地震時における応答を精度良く予測するための手法を開発することを目的とする。地盤と基礎には2つの力学的特徴である「強度依存性」と「振動数依存性」がある。前者は地盤の塑性化に伴う非線形の特性であり、後者は動的載荷に伴う動的ばね特性である。最近の研究により、前者と後者の力学的な関係性が明らかとなったことで、精度の良し悪しは後者の振動数依存性の把握に依存することになった。しかし、これまでの方法では後者の特性を精度良く把握する技術はない。本研究は小地震時の構造応答と深層強化学習(AIの一種)を用いて高精度に動的ばね特性を推定する方法を開発する。
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研究実績の概要 |
本年度の研究は研究計画に基づいて順調に進行している。具体的には下記の2つの成果が得られたので、それぞれ成果の概要を示す。 1.令和3年度に提案した杭基礎のインピーダンス関数の推定方法の高精度化と推定値を用いた地盤-杭-構造物系の非弾性応答評価システムの開発とその評価 令和3年度に提案したインピーダンス関数の推定方法を令和4年度の研究にて高精度化を実現した。インピーダンス関数の推定では、局所的な剛性項や減衰項の増減傾向を捉えることが難しかった。そこで、計測された構造物の伝達関数を再現できるVoigtモデルを各振動数で求め、求めたVoigtモデル結果をDQN解析に組み込んだところ、深層強化学習によるインピーダンス関数の推定精度を飛躍的に改善することに成功した。次に、この推定されたインピーダンス関数を用いて、実験で用いた構造物を対象にした非線形時刻歴応答解析のためのシステム開発を行った。非線形性は本研究プロジェクト計画の元になった科研プロジェクトにて開発済みのe-GLPMモデルを解析システムに組み込み、多自由度系の非弾性構造体を扱うことができるシステムである。本開発システムに実験と同じ地表面入力を与えて解析を行ったところ、実験結果と極めて類似した応答特性を示すことが明らかとなり、本システムの妥当性が確認できた。 2.令和5年度実施予定の大型基礎実験の予備解析の実施 令和5年度に実施予定の大型基礎について、3次元非線形有限要素法を用いた解析を実施し、大型基礎天端における復元力特性を把握した。載荷速度によっては、静的骨格曲線を大幅に上回る抵抗が生じる可能性を示しており、実験での載荷レベルについて慎重なケース選択を行う必要性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度は、地盤-基礎系の動的ばね特性「振動数依存性」の小地震を利用した構造応答からの推定手法を開発した。また本研究では、中型せん断土槽内に1/20スケールの地盤-群杭実験模型を1g場で製作し、振動台加振によって小地震を再現した。本実験では、入力地震動はランダム波1波、観測地震動に基づくシミュレーション波3波の計4波とし、地表面(入力)とフーチング・構造物(出力)の加速度応答を計測した(地表面レベルで50galから100gal相当)。また、大地震時における基礎と構造物の応答予測の目標値を、別途、同モデルを用いた実験(地表面レベルで200galから500gal、それ以上)によって計測した。 この実験で得られた小地震の入力と出力の波形を用いて、Gyro-Lumped Parameter Model(GLPM)を組み込んだ構造モデルを対象に、深層強化学習(DQN)により動的ばね特性の推定精度を評価した。本解析では地表面に対するフーチング応答関数と、地表面に対する構造物応答関数の2つを目標値とし、これを再現できるGLPMパラメータの最適値をDQNにより推定した。この推定方法の問題点は局所的な剛性と減衰の増減が十分に同定できないことにあったが、令和4年度の研究において、実験から得らえる付随的なインピーダンス関数の推定情報をDQN解析に組み込むことで、局所的な挙動を同定することに成功するに至った。 また、同定したインピーダンス関数を用いて大地震時における地盤-杭-構造物系の非弾性応答を予測する解析システムを合わせて構築した。得られた解析結果は、実験で得られた大地震時の応答性状を良好に再現できることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は令和3年度から構築したDQN解析を用いたインピーダンス関数の推定手法を、大型基礎に適用し、その妥当性を検証する。このステージでは、昨年度、新規に導入した水平載荷試験機を用いて静的・動的載荷試験を実施する。具体的には、大型基礎から所定の高さまで設けたプレート位置に試験機の載荷部を固定し、幅広い振動数領域と載荷振幅で調和振動加振を実施する。これにより、大型基礎のインピーダンス関数の振動数依存性と載荷振幅依存性の特性を把握する。次に、上部工を搭載した大型基礎に対して、基盤から地震動を入力する。この実験は令和3年度に実施した杭基礎の実験と同様の目的で行う。そのため、入力地震動とその振幅も同じものを用いる予定である。この実験によって、DQN解析の目標値となる基礎と構造物の応答予測の目標値が得られる。それ以降は、令和4年度までに群杭を対象に構築したDQN解析の大型基礎への適用の妥当性と、大地震時における応答予測のための解析システムの適用性と評価を行う計画である。回転運動が主体となる大型基礎に対しても、これまでに提案したDQN解析と解析システムが適用可能か否か、検討を実施する。
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