研究課題/領域番号 |
21H01416
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22020:構造工学および地震工学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 佑弥 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10726805)
|
研究分担者 |
三浦 泰人 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (10718688)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
|
キーワード | コンクリート / 内部損傷 / 力学性能 / 複合劣化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,長期の力学作用(疲労・持続荷重)や,材料劣化(凍結融解,アルカリシリカ反応,乾燥収縮など)に伴う体積変化/損傷が複合的に生じるコンクリート構造物を対象とし,損傷の寸法分布/位置分布に基づいた力学応答を,複数の実験と数値解析手法(有限要素法,剛体バネモデル解析)を組み合わせて分析・モデル化することを通じて,複合的に損傷が進展するコンクリート構造物の力学性能を予測/評価するスキームを確立することに取り組む.
|
研究実績の概要 |
本研究は,長期の力学作用(疲労,持続荷重)や,材料劣化(凍結融解,アルカリシリカ反応,乾燥収縮など)に伴う体積変/損傷が複合的に生じるコンクリート構造物の力学応答を複数の実験と数値解析手法を組み合わせて分析することを通じて,複合的に損傷が進展するコンクリート構造物の力学性能を予測/評価するスキームを確立することを目的としている. 当該年度は,前年度に確立した巨視ひび割れ・微細損傷それぞれの力学挙動への寄与度モデルを,FEMモデル上でモデル化し,既往のコンクリート構造物の構造応答解析システムに実装した.特にアルカリシリカ反応を対象とし,これまで内部膨張によって生じたひずみをほぼ全て巨視ひび割れと考えて損傷パラメータを算出してきた点に対して,微細損傷によるひずみ分を考慮することで,内部膨張に特徴的な緩慢な力学性能低下が考慮可能となった.また,ひび割れ中に存在する析出物質の力学寄与を考慮することで,実験で見られた力学性能の回復傾向を再現することが可能となった.本モデルは他の要因による膨張に対しても損傷寸法の違いを考慮することで,転用が可能なモデルである. 以上のモデルを用いて,梁やスラブといった部材実験の結果の再現解析を実施した.内部膨張による損傷が生じた部材の力学性能は非常にばらつきが大きいものであるが,ひび割れの性状を陽に考慮することで,同じ膨張量でも力学性能が向上するばあいと低下する場合を明確に再現することが可能であることが示された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定の通り,前年度に明らかにした異なる寸法の損傷がコンクリートの力学性能に与える影響に関するモデル,ならびにひび割れ中を占める析出物質の力学特性に関するモデルを研究代表者が開発に参画する有限要素法解析システムに実装し,部材レベルの構造解析での影響を明確に示すことに成功した.特にアルカリシリカ反応が生じたコンクリートについて,微視的な損傷分布やひび割れ中の物質の影響を部材レベルの構造解析で明示した解析は他に類を見なく,卓越した成果が得られた.以上より,本研究はおおむね順調に進展していると判断される.
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は,実装した力学モデルを他の要因により膨張・劣化したコンクリートへ適用することを進める.疲労などの長期の時間依存の損傷進展を考慮することで,凍害などの長期で徐々に損傷が進展する現象へもモデルが適用可能となると考えられる. また,実構造物データを用いた検証を進める.複雑な作用環境で複合劣化が生じる実構造物に対して解析手法を適用することで,不確定要因が存在する中での解析の利用方法を確立することを目指す.
|