研究課題/領域番号 |
21H01422
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22030:地盤工学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松島 亘志 筑波大学, システム情報系, 教授 (60251625)
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研究分担者 |
渡邊 保貴 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 主任研究員 (80715186)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | granular materials / soil mechanics / visualization experiment / discrete element method / statistical mechanics / メゾスケール堆積構造 / マイクロメカニックス / SEM / マイクロx線CT / DEM(個別要素法) / 粒子形状 / 粒子間付着力 / Discrete Element Method / Statistical mechanics / 粘土 / 付着力 / 粒状体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,粒子サイズが小さく,観測が困難である一方で,熱化学反応等の材料変化の影響を受けやすい細粒土を対象として,(1)湿潤状態の細粒土のメゾスケール構造を観察する最先端の実験 手法の開発,および(2)スーパーコンピュータによる大規模粒子ベース数値解析を行い,メゾスケール構造ユニットの力学応答を明らかにすることによって,付着性粒状体としての細粒土のマイクロメカニックスの新たな枠組みを構築する.
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研究実績の概要 |
本研究では,粒子サイズが小さく,観測が困難である一方で,熱化学反応等の材料変化の影響を受けやすい細粒土を対象として,(1)湿潤状態の細粒土のメゾスケール構造を観察する最先端の実験 手法の開発,および(2)大規模粒子ベース数値解析を行い,メゾスケール構造ユニットの力学応答を明らかにすることによって,付着性粒状体としての細粒土のマイクロメカニックスの新たな枠組みを構築することを目的としている.今年度は,以下の研究成果を挙げた. (1)締固めた膨潤性粘土の微視構造を評価するため、水銀圧入試験により飽和履歴を与えた試料の間隙径分布を定量化すると共に、高密度状態では板状粒子が配向し、粗大な間隙はほぼなくなった状態にあることをSEM観察を通じて示した.高密度を達成するための締固め圧力は、粒子間に作用する静電化学的な斥力の理論値と関係があることが示唆された.また、三軸圧縮試験により、圧縮履歴の有無によらず吸水膨潤供試体の応力-ひずみ関係はほとんど変わらなかったことから、高密度状態で互いに接近し合った粒子群は吸水膨潤により可逆的にほぐれ、力学挙動に差異をもたらさないことが示唆された. (2)個別要素法における板状粘土粒子に作用するvan der Waals力モデルの開発:任意の位置関係にある板状粒子間に作用するvan der Waals力の合力を,それらの位置関係を表すパラメータ(相対角度,最小距離,オフセット量)より計算するモデルの開発を行った. (3)2次元粒状体のセル応力についての検討:2次元の円粒子よりなる粒状体のメゾクラスター構造であるセル構造に作用する応力を定義し,その統計的性質を調べた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度確立した粘土のメゾスケール構造の可視化手法を用いて,圧縮および吸水膨張を受ける粘土のメゾスケール構造の変化を定量的に検討した.一方,数値解析に関しては,板状付着性粒子の大規模DEM解析に必要なvan der Waals粒子間引力について,これまで提案されたものよりも一般性のあるモデルについての検討を行い,ある程度の成果が得られつつある.また,大規模計算を行うためのスーパーコンキューターに関しては,昨年度で運用を終了したOakforestシステムの代替システムでの解析の可能性についての検討を行った.これらにより,次年度に大規模計算を実施できる準備が整ったと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,本研究の最終年度であるため,実験で得られつつある知見を数値解析で検証して裏付けを取ること,更に実験では得ることのできない粘土のメゾスケール構造についての定量的なデータを得ることを目標とする.特に,本研究の終了後も,同様の方針で研究を進めることで,今までわからなかった新たな知見が得られる,という「手法の有効性」を示すことが重要であると考えている. 粘土のマイクロメカニックスは,実験手法の制約およびコンピューター性能の制約により,今までは定量的な評価まで届いていなかった分野であるが,今回の研究で何かしらのブレークスルーを生み出すことを目指している.
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