研究課題/領域番号 |
21H01469
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分22060:土木環境システム関連
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
島崎 大 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (60322046)
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研究分担者 |
秋葉 道宏 国立保健医療科学院, その他部局等, 特任研究官 (00159336)
春日 郁朗 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (20431794)
三好 太郎 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (80587791)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | エンドトキシン / 浄水処理 / 浄水場 / 医療施設 / 排水処理 / 微生物群集構造 |
研究開始時の研究の概要 |
生理活性物質であるエンドトキシンは、医療現場で用いる水道水(医療用水)から可能なかぎり除去することが望ましい。申請者のこれまでの研究等により、浄水処理プロセスのうち生物活性炭ろ過においてエンドトキシン産生能力が高い細菌群(以下、産生菌)が一部に棲息し、水中のエンドトキシン増大に寄与することが明らかとなった。本研究は、浄水処理プロセスによりエンドトキシンおよび主たる産生菌を可能なかぎり低減することを目的とする。本研究の成果は、水道水および医療用水の安全性と信頼性のさらなる向上に資することが期待される。
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研究実績の概要 |
生理活性物質であるエンドトキシン(ET)は、医療現場で用いる水道水(医療用水)から可能なかぎり除去することが望ましい。本研究は、浄水処理プロセスによ りETおよび主たるET産生菌をできるだけ低減するための方策を提示することを目的としている。本年度は、国内の膜ろ過処理を有する2浄水場を対象として、排水処理を含む各プロセスにおける、ET活性およびET産生菌の存在状況や挙動の調査を行った。 当該の浄水場では、いずれも伏流水を原水として、2段階の精密膜ろ過により回収率99.9%を達成としている。原水のET活性値は0.3-0.4[EU/mL]であったものの、膜ろ過1段目の濃縮液(すなわち膜ろ過2段目の原水)は5.8-9.0[EU/mL]となった。さらに、1段目および2段目の膜ろ過水を混合した浄水のET活性値は2.0-2.8[EU/mL]となり、もとの伏流水よりも上昇した。一方、膜ろ過2段目の濃縮液である膜ろ過排水中のET活性値は67-377[EU/mL]であった。各プロセスの流量からETのマスフローを計算すると、膜ろ過処理の過程で大幅にETが増加しており、細菌の増殖による可能性が考えられた。 膜ろ過排水中の単離菌を対象に16S rRNA遺伝子を標的とした遺伝子解析では、12属(Acidovorax, Brevundimonas, Caulobacter, Flavobacterium, Methylibium, Mycolicibacterium, Polaromonas, Pelomonas, Pseudomonas, Sphingomonas, Stutzerimonas, Undibacterium) が同定された。そのうち、ET産生能力が比較的高い細菌はPelomonas, Pseudomonas, Undibacterium であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
浄水場については、当初計画どおり調査対象とする浄水場を選定、調整し、排水処理工程を含む各試料を採取した。今年度は膜ろ過処理を有する浄水場のろ過排水から細菌を単離し、昨年度に確立した手法を用いて、各細菌のエンドトキシン(ET)生成能力を評価した。各単離菌の遺伝子を解析し、ET産生性が高い細菌群を抽出した。さらに、次世代シーケンシングを用いた群集構造解析により、ET高産生細菌群が生物活性炭の微生物群集全体に占める割合を評価できた。 一方、国内における新型コロナウイルス感染症の第5,6波の影響等により、医療施設を対象とした調査において引き続き遅れを生じた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に調査対象とした浄水場とは異なる水源や方式となる他の浄水場を対象として調査を継続し、各試料から検出される細菌種やエンドトキシン生成能力について比較を行う。令和5年5月より新型コロナウイルス感染症の類型変更が生じたことから、医療施設を対象とした調査においても採水が可能となることが想定され、感染者数が少ない時期での実施を検討する。 また、各単離菌からエンドトキシンを抽出して精製し、HPLCで分離することで、各単離菌の系統的な差異とエンドトキシンの構造的な差異、ならびに、エンドトキシン産生能力の差異を比較する。
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