研究課題/領域番号 |
21H01474
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23010:建築構造および材料関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
尾崎 文宣 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (40434039)
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研究分担者 |
鈴木 淳一 国立研究開発法人建築研究所, 防火研究グループ, 主任研究員 (10453846)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2021年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | 鋼構造建築物 / 耐火 / リダンダンシー / レジリエンス / 鋼構造耐火 / 火災時リダンダンシー / 火災後レジリエンス / 耐火構造実験 / 火害後性能 / 火災リダンダンシー / 鋼部材 / 構造耐火実験 / 耐火設計 / 構造耐火 / 鋼構造 |
研究開始時の研究の概要 |
火災罹災後の鋼構造の早期復旧・再利用を可能にさせるために、架構が有する火災時の荷重再配分能力(リダンダンシー)に着目した載荷加熱実験と解析的検討を行い、火災および火害後の架構レベルでのリダンダンシーの効果を解明する。さらに鉄骨部材の火害後健全性・再利用評価のため、熱影響を受けた鉄骨部材の火害範囲を精度良く推定する手法として、高力ボルト接合部の初期導入軸力の変化に着目した火害範囲推定法を提案する。これより補修・取替え範囲が小さく済む火害後回復力(レジリエンス)に優れた構造を見出し、鋼架構の火災時リダンダンシーとレジリエンスの関係を明確にして、これらが評価可能な耐火設計・評価法を提案する。
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研究実績の概要 |
本課題では火災罹災後の鋼構造の早期復旧・再利用を可能にさせるために、架構が有する火災時の荷重再配分能力(リダンダンシー)に着目した鉄骨フレームと各種鋼部材の高温実験を行う。さらに火災後の補修・取替え範囲が小さく済む火害後回復力(レジリエンス)に優れた鋼架構を見出し、鋼架構の火災時リダンダンシーとレジリエンスの関係を明確化し、両者が評価可能な耐火設計・評価法を提案する。本年度は下記の研究成果を得た。 1)昨年度の鉄骨フレームの載荷加熱実験より荷重再配分能力が低いと考えられていた薄板系鋼梁に対しても、高温局部座屈後にも曲げ崩壊機構が形成され、さらにカテナリー状の釣合い機構による安定的な荷重支持能力を有することが判明し、本年度はその耐火設計法の提案を行った。加熱中に局部座屈を呈しても鉄骨フレーム内の鋼梁はリダンダンシーと荷重支持能力が発揮されることに着目し、高温全塑性モーメントを用いた崩壊温度で評価できる枠組を提案した。 2)部材レベルの耐火性能と火害後構造性能評価として、薄板鋼梁の高温せん断座屈と角形鋼管柱の高温全体座屈と局部座屈の連成実験の継続、リブ付き鋼折板屋根の高温曲げ耐力、高強度鋼材の加熱冷却後の破壊靭性評価、および中ボルトの高温および加熱冷却後のせん断実験を行った。これらより鋼梁の高温せん断座屈耐力の耐火設計法、応力再配分(リダンダンシー)を考慮した折板屋根の崩壊温度評価を新提案し、さらに高強度鋼および中ボルトの火災および火害後の新規データを取得した。 3)鉄骨構造の火災後レジリエンスが定量可能なレジリエンス評価解析モデルを昨年度構築し、本年度はモデル改良を行い、火害によるコスト指標と補修期間が定量評価できるレジリエンス評価モデルを新提案した。火害による耐火性能の低下の他、コスト指標に基づく火災被害(区画の大きさ)とレジリエンスの関係を定量化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度に、本年度実施予定の火災時リダンダンシーに関する各種部材の耐火実験と火害後接合部の各種データ取得を前倒しさせたため、本年度は追加実験(鋼梁のせん断座屈、鋼柱の高温座屈と局部座屈の連成問題、鋼柱の柱ボルト接合実験)や新規の耐火実験(リブ付き鋼折板屋根、中ボルト、高強度鋼の破壊靭性)などが実施でき、新たな研究成果が得られることとなった。本年度は昨年度に引き続き個別の耐火実験に必要な実験機器と実験期間、実験担当者(研究室の大学院生数)に恵まれていたこともあり、この好タイミングを逃さずに研究の前倒しと新規テーマ化を図った。今まで耐火設計法が皆無であった建築ケーブル構造の耐火設計法の構築や、各種部材の耐火実験データの取得、さらにボルト接合部関係の耐火および火害後構造データ、高強度鋼の火害後破壊靱性のデータ取得も行った。大学所有の耐火電気炉を用いて各種鋼部材の載荷加熱実験、および加熱冷却後の構造実験をそれぞれ優先的に実施したため、当初の予定より大幅な研究成果(各種鋼部材の耐火および加熱冷却後の性能データ)を得られることができた。これらの個別部材の耐火性能は、鉄骨造建物全体の耐火性能や火災時リダンダンシー、および火害後のレジリエンスを評価する上で必要となる貴重な実験データである。火災時および火害後のフレーム全体と各種部材間の耐火構造性能の関連性が明確化され、鉄骨造全体としての火災時リダンダンシーと火災後レジリエンスが総合的な評価が可能となる。これらの実験データについては、次年度において、より詳細にデータ解析・考察されることになる。また各種鋼部材の火害後構造性能に関する取得データに関しては、日本建築学会の建物火害調査に関する指針(現在改定中)に掲載予定である。
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今後の研究の推進方策 |
1)次年度は実大鋼ブレース構造の耐火実験を予定しており、本課題においてはリダンダンシーの観点からその耐火性能を評価する。ブレース構造の耐火実験では、本年度に取得された細長比が大きな鋼柱の高温局部座屈と全体座屈の連成問題に関する研究成果(耐力劣化域における高温残余耐力評価)を用いることで、火災時のブレース構造内のリダンダンシー(荷重再配分能力)を定量評価することができる。既存耐火設計法はブレース材の鉛直荷重の支持能力が考慮できておらず、それが耐火設計に反映できれば合理的な耐火設計が実現可能であり、またフレーム全体としての耐火性能向上に繋がる。 2)本年度は火災後レジリエンスの解析評価モデルに対して、コスト指標を用いたモデルを新提案し、火災範囲と火害損失コストに及ぼす影響、および復旧日数と復旧コストから求まるレジリエンスの定量化が可能となった。次年度は、火災規模、火災荷重と火災性状、耐火被覆量をパラメータとしたレジリエンス解析を実施し、火災後レジリエンスに影響を及ぼす諸因子を詳細に明らかにする。さらに各種鋼部材の火害後構造性能に関する実験データを用いて、火害診断時の残存構造性能に関する評価手法を提案する。対象材としては、高強度鋼の火害後破壊靭性、中ボルトやワイヤロープの火害後残存強度である。これらが用いられた鉄骨造に対して迅速な復旧が可能な火害診断評価法の提案を目指す。これらより火害診断・補修法から火災後レジリエンスの定量化までが検討可能な評価法の構築を図る。 3)最終年度であることから、今までに得られた研究成果の公表(査読付論文と学会発表)に注力する。本課題で取組んだ鉄骨構造の火災時リダンダンシーを考慮した耐火設計法、火害後レジリエンスの一連の取組と火災時リダンダンシーとの関係性に関する検討結果、各種鋼部材の耐火設計や火害後構造性能に関する研究成果を公表する。
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