研究課題/領域番号 |
21H01488
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐久間 哲哉 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80282995)
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研究分担者 |
井上 尚久 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (00755803)
西沢 啓子 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部物理応用技術部光音技術グループ, 副主任研究員 (90570416)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
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キーワード | 建築環境・設備 / 音・振動環境 / 遮音 / 数値解析 / 音響計測 |
研究開始時の研究の概要 |
建築部材の遮音性能を表す音響透過損失は、建築物の遮音設計の基礎となる物理量であり、長年世界各国で性能評価に用いられ、法制度に基づく遮音構造認定にも関わることから、測定の信頼性が社会的に極めて重要となる。本研究では、異なるタイプの試験室を対象として実験・数値解析を行い、測定誤差の発生原因を解明し、正確性・再現性を高めるとともに、従来は測定不能であった100Hz以下の低周波音や遮音性能の低い材料に対する新たな測定法を提案する。
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研究実績の概要 |
建築部材の音響透過損失の実験室測定法に関して、JIS及びISOで規格化されている不整形残響室(タイプⅠ)及び矩形室(タイプⅡ)の両タイプの試験室を対象として、第一に、試験室の各要因が測定の正確性・再現性に及ぼす影響の検証、第二に、新たな測定法による低周波域への適用範囲拡大、第三に、低遮音性試料の測定精度の向上を、理論検討班・数値解析班・遮音実験班の3班の相互協力により推進する。第二年度は、5月にオンラインにて全体会合を開催し、昨年度の成果報告と本年度の各班の検討内容を協議した上で、その後は随時実験・解析方法の詳細について意見交換を行いながら、以下の作業を進めた。 課題2)低周波域の測定適用範囲拡大:遮音実験班は、初年度末に実施した従来法及び新規のコーナー法による測定結果の追加分析を進めた。結果として、コーナー法における室隅部の測定点数、重み付け平均化の方法、音源室・受音室の隅部音圧レベルの傾向について知見が得られた。その一方で、コーナー法による低周波域の測定精度改善には限界があることも示唆された。数値解析班は、初年度に構築した数値解析手法を用いて、コーナー法の適用性をより詳細に分析すべく、測定法のシミュレーションモデルを作成し、パラメトリックスタディの準備までを完了した。 課題3)低遮音性試料の測定精度改善:遮音実験班は、タイプⅡ試験室に調整壁を施工し、軟質遮音シート(面密度2水準)を対象として、小面積試料の開口部の位置を変化させてコーナー法に基づく音響透過損失測定を実施した。理論値および全面試料の結果との比較検証を行った結果、開口部位置によって測定値が大きく変化し、隅部の場合に比較的妥当な測定が可能となることが明らかとなった。しかし、コーナー法と小面積試料の組合せに関する現象把握は不十分であり、課題2)とあわせて最終年度の数値解析班の検討課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第二年度は、当初、課題2)低周波域の測定適用範囲拡大に関しては、遮音実験と並行して数値解析を実施する予定であったが、課題3)低遮音性試料の測定精度改善に関する遮音実験とその分析に予想以上の労力を費やしたため、数値解析は準備段階に留まった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度では、実験室遮音測定を模擬する数値解析モデリング手法の構築は完了し、第二年度では従来法とコーナー法の遮音測定、小面積試料を対象とした遮音測定までを完了している。従って、最終年度では第二年度の測定実験を模擬した数値解析に注力し、実験結果と数値解析結果の比較により新規測定法の妥当性検証を進めるとともに、数値解析によるパラメトリックスタディを通して低遮音性試料を対象とした測定法の補正方法を検討する。
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