研究課題/領域番号 |
21H01496
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23020:建築環境および建築設備関連
|
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
|
研究分担者 |
斎藤 輝幸 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (30281067)
長谷川 兼一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50293494)
西名 大作 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (60208197)
今川 光 大阪工業大学, 工学部, 助教 (60910867)
都築 和代 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (70222221)
森 太郎 北海道大学, 工学研究院, 教授 (70312387)
高田 宏 広島工業大学, 環境学部, 准教授 (80403583)
中谷 岳史 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (80469585)
源城 かほり 長崎大学, 工学研究科, 教授 (90315648)
宇野 朋子 武庫川女子大学, 建築学部, 准教授 (90415620)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
|
キーワード | オフィスビル / 熱的快適性 / 快適温度 / 適応モデル / 行動・心理・生理的適応 / 行動的適応 / 窓開放 / 着衣量の調整 / 扇風機利用 |
研究開始時の研究の概要 |
オフィスの室内環境調整をできる限り自然換気で行なうことは,今後,COVID-19の感染を減らす観点からも重要である。そのためには,熱的に快適な執務環境の目安(基準)を改めて考え直す必要があり,地域の屋外気候と室内気候を関係付ける熱的快適性の「適応モデル」の重要性が増す。本研究では,日本各地域のオフィスビルを対象に熱的快適性のフィールド調査を行う。快適温度と許容可能範囲を算出し,高温多湿気候でも利用可能な適応モデルを開発する。また環境適応の行動・生理・心理的メカニズムを解明する。研究成果はガイドライン・基準作成に利用でき,自然換気建物の設計や既存の建物の冷暖房の温度設定・自動制御に有用である。
|
研究実績の概要 |
愛知県のオフィスの快適温度とグローブ温度の相関関係が高く,執務者が室内環境に適応していた。平均快適温度は25℃程度であり,各モードの差が小さい。冷暖房非使用時の快適温度と外気温度の相関関係は高く,外気温度からオフィスの快適温度を推定できる。(リジャルH.B.・斎藤輝幸) 北海道のオフィスの着衣量の変化,執務者の行動量が適応モデルに与える影響について検討した。その結果,着衣量に関しては暖房期になると薄着になる傾向,また,寒暑感に影響を与える因子として移動平均外気温度の次に気流感があげられること等が示唆された。(森太郎) 長野県の調査は完了し,12か月間で1056申告を得た。また秋田県は調査中であり,8か月間で320申告を取得した。現在,入力作業とデータクリーニング作業を行い,2023年度の分析と論文執筆,論文投稿に向けて準備を進めている。(中谷岳史・長谷川兼一) 関西の1年間のデータ整理が完了しているオフィス4か所について,乾湿感に影響する要因を調べたところ,冬期と夏期で要因が大きく異なること,夏期には発汗が強く関係していることを示した。また,中央空調式のオフィスでの結果の分析では,仕事のしやすさに快適感,明るさ感,空気質感,疲労感が関係していることが示された。(宇野朋子・都築和代・今川光) 広島県の執務者の大半はオフィス空間に対し,寒暑感,快適感ともに満足していた。冷暖房使用時・非使用時のモード別の外気温度と快適温度の関係から,適応モデルについて既往研究の数値と比較した。また,外気湿度,執務者の着衣量,環境適応行動による快適温度の違いについて検討した。(西名大作・高田宏)。長崎県の執務者の大半が執務内温熱環境を快適と感じており,各モードの平均快適温度は23.2~25.9℃であり,モード間の差は小さい。快適温度と外気温度の相関は高く,外気温度から快適温度を推定できる。(源城かほり)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように,本研究のデータ収集,データ入力,データ分析などは順調に進んでいる。今まで取得したデータを分析し,日本建築学会大会に8編,空気調和・衛生工学会大会に2編,空気調和・衛生工学会中部支部学術研究発表会に1編,第46回 人間-生活環境系シンポジウムに1編,日本建築学会関東支部研究発表会において9編,日本建築学会北海道支部研究発表会に1編,日本建築学会中国支部研究発表会に2編の論文を発表している。国際会議ZEMCH 2022で1編,CATE 2022で1編の論文を発表した。さらに,関東で取得したデータを分析しRoutledge Handbook of Resilient Thermal Comfortでは2つの章を発表した。愛知県のデータを分析してEnergies誌に論文を発表した。なお,2023日本建築学会大会に9編,IAQVEC2023に3編の論文を投稿している。このように,国内外で数多くの研究成果を発信している。
|
今後の研究の推進方策 |
各地域でフィールド調査がほぼ完了しており,今後,データ入力,データ整理を行う。今後,各地域や全地域のデータを分析して,日本建築学会,空気調和衛生工学会,国際会議,学術雑誌等で論文発表を行う予定である。特に,愛知県のデータを分析して,国内外の「研究協力者」の後藤伴延(東北大学),田辺新一(早稲田大学),大岡龍三(東京大学),梅宮典子(大阪公立大学),久保田徹(広島大学),髙田眞人(熊本大学)とFergus Nicol (Oxford Brookes大学),国際連携としてRichard de Dear (Sydney大学)も含めて,Japan Architectural Review誌に論文投稿を行う予定である。研究結果を頻繁に議論して,より良い研究成果を発信し,社会に貢献したいと思っている。 2023年度の研究費は概ね申請時の計画通りに使用する。主な内容は調査旅費,学会発表旅費,論文投稿費などである。
|