研究課題/領域番号 |
21H01504
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分23030:建築計画および都市計画関連
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研究機関 | 摂南大学 (2023) 神戸大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
平山 洋介 摂南大学, 現代社会学部, 教授 (70212173)
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研究分担者 |
祐成 保志 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (50382461)
佐藤 岩夫 東京大学, 相談支援研究開発センター, 特任教授 (80154037)
川田 菜穂子 大分大学, 教育学部, 准教授 (90608267)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 住宅政策 / 住宅セーフティネット / 住宅確保要配慮者 / 民営借家 / 空き家 / 低所得層 / 住宅市場 / 居住支援 / 家賃補助 / セーフティネット |
研究開始時の研究の概要 |
市場重視の住宅政策の展開のもとで、市場住宅を確保できない人たちのために、民営借家ストックを活用し、住宅セーフティネットを形成しようとする政策が展開した。しかし、その成果はほとんどあがっていない。本研究は、住宅セーフティネットの需給関係に関する実態分析、制度の組み立て方の分析、さらに低所得者向け住宅対策の国際比較分析を進めるところから、その再構築のあり方を理論・実証の双方から展望しようとするものである。
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研究実績の概要 |
政府の住宅政策は、1990年代半ばから、市場メカニズムを利用する方向に転換した。そこでは、市場重視の住宅施策の展開に併せて、市場住宅を確保できない低所得者に対応する必要が生じた。この枠組みのなかで、2007年制定の住宅セーフティネット法にもとづき、高齢者、母子世帯、障害者などの「住宅確保要配慮者」のために、賃貸住宅のセーフティネットを構築する政策がとられた。同法2017年改正では、民営借家の空き家を活用する方針が強調された。しかし、住宅セーフティネット政策は、小規模な実績しかあげていない。住宅セーフティネット形成は、市場重視の住宅政策における低所得者対応の新たな中心手段であるにもかかわらず、その理論・実証研究はほとんど実施されず、実績の低さの原因も未解明のままである。以上の文脈をふまえ、本研究は、住宅セーフティネットの再構築のあり方を、実態分析と制度分析、さらに国際比較分析から包括的に追求しようとするものである。 この目的に沿い、本年度は、インターネット上に公開された登録住宅の情報を系統的に収集し、供給主体、入居対象、広さ、家賃、立地、築年数などのデータベースを作成・分析することで、どのような住宅が登録されたのかを把握した。その結果、登録住宅の大半は、政府がはたらきかけた不動産業界の特定企業によるもので、制度は一般家主にはまったく普及していないこと、登録住宅のほぼすべては住宅確保要配慮者を限定対象とする専用住宅ではなく、一般世帯をも対象していること、したがって、登録住宅はセーフティネットとして機能しているとはいえないこと、などを明らかにした。さらに、諸外国の住宅政策との比較を含め、日本のセーフティネット政策を説明するための理論枠組みを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セーフティネット政策における登録住宅のデータベース作成・分析から貴重な結果を得たことに加え、諸外国の住宅政策との比較から、日本の住宅セーフティネットを説明する理論枠組みの検討を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果をふまえたうえで、次年度には、住宅セーフティネット政策のおもな対象である民営借家を対象とするアンケート調査を実施し、このセクターにおける入居層の特性を明らかにし、それによって、住宅セーフティネット政策のあり方に関する評価作業を行い、さらに、低所得者向け住宅制度の日本的特徴をとらえるために、引き続き国際比較検討を進める予定である。
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