研究課題/領域番号 |
21H01551
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
永田 修一 佐賀大学, 海洋エネルギー研究所, 特任教授 (30404205)
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研究分担者 |
高尾 学 松江工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (00332057)
石田 茂資 佐賀大学, 海洋エネルギー研究所, 客員研究員 (30360712)
萩原 世也 佐賀大学, 理工学部, 教授 (80198647)
今井 康貴 佐賀大学, 海洋エネルギー研究所, 准教授 (90284231)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
14,170千円 (直接経費: 10,900千円、間接経費: 3,270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
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キーワード | 波力発電 / 浮体式洋上風力発電 / 3次元渦法 / 発電性能評価 / 水槽実験 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高速多重極法とGPGPU技術を導入して、粘性流体を対象に、大幅に高速化された3次元渦法をベースに、水面の非線形性、浮体表面から発生し、流体中に放出される渦の粘性拡散影響を正確に考慮した高速3次元粘性流体解析法を開発する。この流体解析法を基に、3次元浮体の運動を時間的に追跡できる浮体運動計算法を開発する。 開発した解析手法を、模型を用いた水槽実験結果と比較することにより計算精度を確認した後、波力発電装置、洋上風力発電装置等の海洋エネルギー利用装置の発電性能解析に適用して、装置の最適設計を行う。
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研究実績の概要 |
本研究では、高速多重極法とGPU技術等を導入して、大幅に高速化された3次元渦法をベースに、水面の非線形性、浮体表面から発生し、流体中に放出される渦の粘性拡散影響を正確に考慮して、3次元浮体の運動を時間的に追跡する高速粘性流体解析法を開発して、この手法を浮体型の振動水柱型(OWC)波力発電装置や浮体式洋上風力発電装置に適用して、装置の最適設計を行うことを最終的な目的としている。 令和4年度は、計算法に関しては、流速と渦度を未知量とした粘性流体の基礎式を、境界要素法をベースとした渦法を用いて解く場合の課題対策として提案した、厳密な自由表面条件式と物体表面条件式に関して、①境界面からの渦の発生と吸収の現象表示に境界渦流束を用いる、②圧力に関する自由表面条件に渦度を考慮する、③物体表面の境界渦流束表示に流体圧力の勾配を考慮すること、に加え、速度ポテンシャルの計算に2次要素を用いる方法の有効性を調べるために、強制振動される自由表面を持つタンク内にある物体周りの2次元流体運動計算を行った。その結果、粒子法として扱う渦に関して、流体中から自由表面境界へ侵入する渦や、物体表面から発生した渦の物体表面への再付着の処理が重要であることがわかった。また、速度ポテンシャルの計算に2次要素を用いる場合には、物体の隅角点や自由表面と物体表面の交点に2重節点法を導入する必要があることがわかった。 実験に関しては、昨年度に引き続き、タービン負荷をオリフィス負荷に置き換えたスパー型の浮体形式を持つ振動水柱型波力発電装置の模型を用いて、規則波中での一次変換効率の実験を行った。空気タービンを搭載した浮体式の後ろ曲げダクトブイ型波力発電装置についても規則波中実験を行い、波パワーから空気パワーやタービンパワーへの変換効率を計測した。また、波力発電用往復流型衝動タービンの性能に関しても引き続き検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は、計算法に関しては、流速と渦度を未知量とした粘性流体の基礎式を、境界要素法をベースとした渦法を用いて解く場合の課題対策として提案した、厳密な自由表面条件式と物体表面条件式と、流体計算の精度を上げるために、2次要素を用いる境界要素法を、強制振動される自由表面を持つタンク内にある物体周りの2次元流体運動計算に適用し、その有効性について調べ、粒子法として扱う渦に関して、流体中から自由表面境界へ侵入する渦や、物体表面から発生した渦の物体表面への再付着の処理が重要であることや、速度ポテンシャルの計算に2次要素を用いる場合には、物体の隅角点や自由表面と物体表面の交点に2重節点法の導入の必要性を明らかにした。これらの早期解決と、3次元計算を急ぐ必要がある。 実験に関しては、昨年度に引き続き、①タービン負荷をオリフィス負荷に置き換えたスパー型の浮体形式を持つ振動水柱型波力発電装置の模型を用いて、規則波中での一次変換効率の実験を行った。②空気タービンを搭載した浮体式の後ろ曲げダクトブイ型波力発電装置についても規則波中実験を行い、波パワーから空気パワーやタービンパワーへの変換効率を計測した。また、波力発電用往復流型衝動タービンの性能に関しても引き続き検討を行った。以上のように、実験の方は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
計算法に関しては、流速と渦度を未知量とした粘性流体の基礎式を、渦法を用いて解く際の課題解決方策として提案した、厳密な自由表面条件式と物体表面条件式の有効性を示すとともに、これらの境界条件式を考慮し、流体計算に2次要素を用いた境界要素法等を適用した新しい計算法を早期に提案し、波力発電装置等の最適設計に適用する予定である。 また、実験に関しては、3次元渦法計算法の検証のために実施している2種類の実験、即ち、①スパー型の浮体形式を持つ振動水柱型波力発電装置模型を対象とした、規則波中での一次変換効率実験、②空気タービンを搭載した後ろ曲げダクトブイ形式振動水柱型波力発電模型を対象とした波浪中の発電実験、において、入射波条件やタービン特性を変化させたシリーズ実験を実施する予定である。
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