研究課題/領域番号 |
21H01553
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 工学院大学 |
研究代表者 |
金野 祥久 工学院大学, 工学部, 教授 (60322070)
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研究分担者 |
北澤 大輔 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30345128)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | 氷海工学 / 耐氷船 / 流体力 / 氷荷重 / 数値流体力学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は近未来の北極海航行では船舶は極点航路を単独で、開水面もある浮氷群中を選択しつつ航行すると想定し、このとき氷片に作用する流体力は密接度増加に伴い減衰するが、流体力の減衰モデルを構築して申請者の数値解析手法に導入することにより、氷荷重を精度良く推定できるのではないか?との問いを立てる。これを検証するため、水槽試験と数値解析の両面から、複数の氷片が水面上に浮遊している状況で氷片に作用する流体力を評価する。これらを統合し、周囲氷片の影響による流体力減衰を考慮した流体力モデルを作成し、申請者の解析シミュレータに組み込むことにより氷海船舶のパフォーマンス・モデルを提供する。
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研究実績の概要 |
本研究では北極海航行において船舶は開水面もある浮氷群中を航行すると想定し、この場合に氷片に作用する流体力の減衰モデルを構築しその精度を検証することを目的とする。 令和4年度は3年度に導入した検力計および改造した計測系を用い、東京大学生産技術研究所の小型曳航水槽にて氷片群曳引実験を実施した。高精度な検力計を導入したことにより計測精度が改善された。過去に行った実験の傾向は再現され、これまでの実験の妥当性が示された。 また令和3年度に引き続き、複数氷片が水面にある場合の数値解析を実施し、下流側氷片に作用する流体力を求めた。解析には汎用熱流体解析ソフトウェアSTAR-CCM+を用い、自由表面表現にはVOF法を用いた。令和3年度に観察された、複数氷片が並んでいる場合の傾向は水槽試験と逆の傾向を示すことを再確認した。乱流モデルなど解析方法や解析格子の改善、氷片を越流する流れの抑制などの改善を試みたが傾向は変わらなかった。数値計算上で氷片の面取りを行ったところ、完全には一致しないものの実験と近い傾向が得られたため、氷片形状や配置を実験に近づけることで解析結果が改善される可能性が示唆された。これ以降の探求は令和5年度以降の課題として残されている。 なお研究成果の一部を日本船舶海洋工学会春季講演会、秋季講演会および北方圏国際シンポジウム、International Symposium on Arctic Research(ISAR-7)にて報告したほか、42nd International Conference on Ocean, Offshore & Arctic Engineeringでも報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していた氷片追跡・流体力測定装置の製作・改善と水槽実験、および浮氷群中の氷片に作用する流体力の数値解析を実施した。ただし水槽実験結果と数値解析結果とで傾向が異なる点があり、その原因究明に時間を要した。そのため流体力のモデル化には着手するに至っていない。 総合して当初予定よりやや遅れていると判断しているが、令和5年度中に取り戻せると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画よりやや遅れているのは主として数値解析に問題があるため、令和5年度は数値解析手法の見直しを行うほか、実験による傾向把握の割合を増やすことを検討する。研究代表者と研究分担者は令和5年度も4年度と同様に密に連絡を取り合うことを確認している。
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