研究課題/領域番号 |
21H01574
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分25020:安全工学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内田 孝紀 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (90325481)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 風力発電 / 地形性乱流 / 風車ウエイク |
研究開始時の研究の概要 |
風車重大事故の主要な原因が,地形起因の「地形性乱流」であることが示された.風車近傍の地形起伏や地表面粗度の急変に起因した「地形性乱流」は,風車ブレードやタワー,ナセルを「振動」させ,金属疲労を著しく進展させ,風車の発電出力にも多大な影響を与える.また,風車ブレードが回転する「風車ウエイク」に起因した「回転性乱流」も同様な影響を与える.本研究では,大型商用風車のブレードとナセル内部に歪ゲージを設置し,「地形性乱流」および「回転性乱流」と「風車振動(風車の疲労荷重)」との相関性を明確化する実証研究を行う.最終的に,風車ブレードおよびナセル内部機器に与える乱流影響に関する評価指標を策定する.
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研究実績の概要 |
2013年,日本国内で風力発電用の風車が破損する重大事故が続けて発生した.京都府伊根町の太鼓山風力発電所では,風車上部が折れてナセルと風車ブレードが地面に落下した.これまでに,日本国内において風車ナセルが地面に落下した事故は前例が無い.これまでの我々の研究成果から,風車重大事故の主要な原因が,地形起因の「地形性乱流」であることが示された((1)Takanori UCHIDA,Numerical Investigation of Terrain-induced Turbulence in Complex Terrain by Large-eddy Simulation (LES) Technique, Energies, 11(10), 2638, 2018 (2)Takanori UCHIDA,LES Investigation of Terrain-Induced Turbulence in Complex Terrain and Economic Effects of Wind Turbine Control,Energies, 11(6), 1530, 2018).
風車近傍の地形起伏や地表面粗度の急変に起因した「地形性乱流」は,風車ブレードやタワー,ナセルを「振動」させ,金属疲労を著しく進展させるとともに,風車の発電出力にも多大な影響を与える.また,風車ブレードが回転する「風車ウエイク」に起因した「回転性乱流」も同様な影響を与える.こうした状況の中,「地形性乱流」と「回転性乱流」が複合した複雑な状況下では不明な点が多い.
本研究では,大型商用風車のブレードとナセル内部に歪ゲージを設置し,「地形性乱流」および「回転性乱流」と「風車振動(風車の疲労荷重)」との相関性を明確化する.最終的に,風車ブレードおよびナセル内部機器に与える乱流影響に関する評価指標を策定する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
該当年度は,風車ブレードが回転する効果を表現する物理モデルと,気流場計算との連携技術の開発することと,これを用いた発電量低下や風車内外の故障の原因となるウィンドリスクの力学機構の解明,また風車振動との相関性の明確化が目標であったが,これらは当初の予定通りに実行することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
電力会社や風車メーカー,風力発電事業者の協力を得て,本研究で指摘する地形性乱流に伴うトラブルに遭遇した風車情報を入手し,その状況をコンピュータで忠実に再現する.上記で開発した技術に基づき,風車がいかに過酷な状況で稼働しているかを定量的に明らかにし,発電量低下や風車故障の原因となるウィンドリスクを特定する.さらに,それらのウィンドリスクの状況を,最新のコンピュータグラフィックス技術を用いて3次元気流場構造として立体的に視覚化する.
本研究では,(株)九電工が所有する鹿児島県の串木野れいめい風力発電所(下記の左図)を対象に実証試験を行う.さらに本研究の遂行には,風車メーカーである(株)日立製作所の協力が不可欠であるが,こちらについても既に事前交渉を行い,内諾を得ている.(株)日立製作所には,歪ゲージ計測の実施および得られた実測データに基づく疲労荷重および構造強度の分析の協力を得る.さらに,(研究代表者が実施する)スーパーコンピュータによる大規模風況シミュレーションの結果を初期値・境界値とした,GH BLADEDによる空力弾性シミュレーションによる風車構造強度および疲労荷重の評価の協力を得る.最終的に,風車ブレードおよびナセル内部機器に与える影響に関する評価指標を策定する.
最終年度は,風況に関する地形性乱流リスクに関する評価指標と,地形性乱流が風荷重として風車に与える評価指標の二種類の策定を計画している.風況と荷重に関する二種類の評価指標を同時に評価することで,より安全・安心な風車の導入計画や運用が実現する.
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