研究課題/領域番号 |
21H01608
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26010:金属材料物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
桜庭 裕弥 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究センター, グループリーダー (10451618)
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研究分担者 |
林 将光 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70517854)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | ホイスラー合金 / スピン流 / スピン軌道トルク / スピンホール効果 / スピントロニクス / スピンネルンスト効果 / トポロジカル材料 / スピン流生成 / 熱電 |
研究開始時の研究の概要 |
「スピンホール効果」「スピンネルンスト効果」によって実現される電流-スピン流、熱流-スピン流の変換現象は、新規な応用への期待から大きな注目を集めている。本研究では、スピン流変換材料としては世界的にも開拓の進んでいない非磁性ホイスラー合金材料に注目する。組成変調した試料を作製することにより、原子規則性-電子構造(フェルミ準位)を緻密に制御し、その特異な電子構造に由来する高効率スピン流生成を実現することを最終的な目標とする。
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研究実績の概要 |
大きな異常ホール効果を持つことで知られるCo2MnGaのエピタキシャル薄膜を作製した。薄膜は高いL21規則度に加えて、バルク単結晶に匹敵する大きな異常ホール伝導率を示した。第二高調波によるスピン軌道トルクの評価を行った結果、従来報告を超える大きなスピン軌道トルク効率を観測した。 また、大きなスピンホール効果を示しうる新規ホイスラー材料として、重元素Irを含んだ新規なホイスラー合金について、スピンホール伝導率の第一原理計算を行った。その結果、非磁性状態において1000(h/2πe)S/cmを超える大きなスピンホール伝導率が得られることが分かった。 各磁気状態のエネルギー的な安定性を計算した結果、強磁性が最も安定であったが、強磁性転移温度が低いため、室温では非磁性的な性質が得られることが期待される。この理論予測に基づき、エピタキシャル薄膜と多結晶薄膜の作製を行った。コスパッタ法により実験的に薄膜成長を試みた結果、B2以上の規則状態を有する薄膜を実現することができた。L21は規則状態は得られなかったため、第一原理計算に対してディスオーダーを取り込むことが重要になる。磁気特性を評価した結果、極低温から室温まで、強磁性を示すヒステリシスは観測されず、非磁性となっていることが確認された。スピン軌道トルクを評価するため、本薄膜をウエッジ形状に作製し、その上部に磁性薄膜を形成させ、ホールクロスデバイスを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目標としている新規なスピンホールホイスラー材料が理論的に開拓され、その単結晶薄膜の成長にも成功した。最終年度に向けて順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
重元素Irを含む新しいホイスラー材料で、大きなスピンホール効果が理論予測された。今後は、実験的な実証を目指す。内因性のスピンホール効果は、電子構造の変化に敏感であることから、組成変化に対する評価を行う。コンビナトリアル成膜装置を利用し、組成依存性を評価する。またX2YZの組成の中で他の重元素や、元素置換を行った系でもより大きなスピンホール効果が得られる可能性もある。理論的な材料探索を引き続き進めていく。
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