研究課題/領域番号 |
21H01629
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26020:無機材料および物性関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
大澤 健男 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 電子・光機能材料研究センター, 主幹研究員 (00450289)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
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キーワード | 酸水素化物 / エピタキシャル薄膜 / 薄膜 / エピタキシャル成長 / 電子物性 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化物イオンと水素化物イオンが共存する酸水素化物材料について、触媒作用やヒドリドイオンの高いイオン伝導性の研究が活発化している。荷電状態や構造歪みにより柔軟に変化する物性応答が期待されるが、電子伝導や誘電特性の報告は少ない。本研究では、エピタキシー技術を基盤とし、重水素を用いた遷移金属酸水素化物薄膜の合成へと発展させ、水素濃度や格子歪みを精密に制御して新奇な電子伝導・誘電機能を発現させること、および自発分極や相転移を利用したセンサ素子の実証を行う研究である。
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研究実績の概要 |
複数のアニオンを含む複合アニオン化合物が示す新奇物性(電子伝導、超伝導、圧電性、強誘電性、触媒作用など)に注目が集まっている。本研究課題では、ナノスケール厚の酸水素化物エピタキシャル薄膜を基軸とし、バルク体では避けることのできない粒界散乱のない単結晶薄膜を用いて、本質的な電気伝導性を明らかにする。具体的には、前周期元素を中心とする遷移金属酸水素化物の新奇な高移動度電子と誘電分極が協奏するユニークな電子素子開発へ波及させることを目的とする。 昨年度においてアナターゼ型TiO2薄膜の水素化に取り組み、水素からの電子ドーピングによって、電子濃度が18乗から21乗(cm-3) で自在に制御し、それに基づいて絶縁体-金属転移を誘起することに成功した。本年度は、水素濃度との相関を明らかにすること、ならびにATiO3(A: アルカリ土類金属)の3元系に展開した。水素分析は軽元素分析に有利な昇温脱離分析で行った。導電性サンプルから水素が検出され、電子濃度が増加すると水素ピークが顕著に大きくなった。その濃度を算出すると20乗(cm-3)となり、電子濃度をほぼ一致した。この結果から、キャリアは水素由来であることがわかった。二次イオン質量分析も行っており、解析を進めている。 次に、3元系への適用を狙い、BaTiO3-xHxおよび(Ba,Sr)TiO3-xHxの作製に着手した。基板温度やBa, Srの蒸着源の温度を最適化した。BaTiO3-xHxについては、基板選択によって、格子歪みと格子緩和したBaTiO3薄膜を得た。これらの試料に対して水素化を行うと、格子緩和した薄膜で低抵抗化した。(Ba,Sr)TiO3-xHxについては、BaとSrのフラックス比を系統的に変化させることによって、格子定数が線形変化し混晶化を確認した。これらの試料に対して、電子輸送および誘電特性の評価を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子線エピタキシャル成長したアナターゼ型TiO2薄膜について、重水素プラズマによるキャリア添加に成功し、そのキャリア濃度に依存して金属-絶縁体転移を観測した。膜厚依存性から、これらの伝導はバルク伝導であることを確認した。バルク敏感な硬X線光電子分光測定を行うと、高キャリア濃度サンプルでのみフェルミ準位近傍にピークが出現しており、水素の作る不純物バンドが電子輸送を担っていることを示唆している。定量分析には、昇温脱離分析を用いた。試料からの水素脱離を検出することに成功し、水素濃度とキャリア濃度がほぼ一致し、水素がキャリアの起源であることを確認した。水素濃度を定量し、電子物性の相関を観測できたことから、研究はおおむね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
TiO2系で得た知見をベースに、ペロブスカイト型複合酸水素化物薄膜へと展開を開始している。具体的には、(Ba,Sr)TiO3-xHxを対象とする。現在までに、プロセスの最適化を行い、再現性よく良質なエピタキシャル薄膜合成に成功している。強誘電体BaTiO3-xHxエピタキシャル薄膜の金属伝導やヒドリド伝導が報告されており、混晶化による新しい電子相による半導体・誘電特性が期待できため、ホール効果測定とインピーダンス測定、強誘電体評価測定を詳細に行う。基板によるストレイン効果、ならびに準安定相に基づく誘電特性を評価することに注力する。
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