研究課題/領域番号 |
21H01631
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26030:複合材料および界面関連
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
大津 直史 北見工業大学, 工学部, 教授 (10400409)
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研究分担者 |
太田 信 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (20400418)
坂入 正敏 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50280847)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | 超弾性NiTi合金 / TiO2皮膜形成 / 陽極酸化処理 / 生体適合性 / 耐食性 / TiO2皮膜 |
研究開始時の研究の概要 |
超弾性NiTi合金は低侵襲治療を支えるステントやガイドワイヤーなど最先端医療用デバイスに欠くことのできない素材であり、多彩な機能を有するTiO2皮膜で表面機能化できれば、アレルギー抑制・抗血栓性・抗菌性などの機能が一挙に付与されて、治療成績の著しい向上につながる画期的医療デバイスを提供できるようになる。 本研究では、通常の陽極酸化処理に、Niのみを除去する界面化学反応の仕組みを加えた「界面化学反応アシスト陽極酸化処理」により、超弾性NiTi合金へのTiO2皮膜を形成し、表面機能化技術として確立することを目指す。
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研究実績の概要 |
初年度は、まずは、超弾性ニッケルチタン合金への「陽極酸化処理」における各種パラメータ、特に電圧印加の影響を詳細に調査した。さらに医療用デバイスとして応用するときに問題となるNi溶出を低減するためのキーファクターについて検討するために、形成皮膜のキャラクタリゼーションをX線光電子分光法(XPS)、走査型電子顕微鏡(SEM)および走査プローブ電子顕微鏡(SPM)を用いて調べ、さらに電気化学的方法で皮膜自体の耐食性を、原子吸光分析で形成皮膜のNi溶出挙動に与える影響をそれぞれ調べた。 ニッケルチタン合金への陽極酸化処理では、電圧をパルス型に変えると界面化学反応を増強でき、このパルスの下限電圧値をゼロボルト(電圧無印加)に近づけると、界面化学反応をさらに増強できることがわかった。例えば、材料表面から化学的にニッケルを除去できる硝酸溶液を用いて、パルス型電圧を用いて、下限電圧を徐々に低下させながら陽極酸化処理をおこなうと、電圧低下に伴い、形成皮膜に含まれるNi濃度が低下し、さらにこのNi除去の効果により皮膜膜厚も増大することがわかった。 パルス型電圧で陽極酸化処理したニッケルチタン合金から、疑似体液(PBS溶液)へのNi溶出量は、電圧低下に伴い低下していった。一方、電気化学的手法で皮膜の耐食性を調べると特段の差異は見られなかった。したがって、Ni溶出量の低減は、皮膜中に含まれるNi濃度に支配されると推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パルス陽極酸化におけるパラメータの影響を明確にし、さらにNi溶出量の低減につながるキーファクターを明らかにすることができた。当初計画通りに進んでおり、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
パルス型電圧を用いた陽極酸化の皮膜形成についての基本的な知見を得ることができた。今後はこの知見を基に、電気化学的評価をさらに進め、皮膜形成の機序解明を進めていく。さらに表面機能の評価も開始し、まずは細胞培養を用いた生体適合性の評価をおこなう予定である。
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