研究課題/領域番号 |
21H01652
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
萩原 幸司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10346182)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2021年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | 鉄鋼材料 / 高強度 / 高延性 / 高炭素鋼 / マルテンサイト / 超高強度 / 延性 / 靭性 / 組織制御 |
研究開始時の研究の概要 |
喫緊の重要課題であるCO2半減・環境問題への有効な方策は,革新的な鉄鋼材料の開発による機器部品の軽薄短小化,製品ライフサイクルの飛躍的改善である.この実現に向け我々は,従来ほとんど注目されていなかった過共析鋼(高炭素鋼)に対し,「粒界改質・結晶粒微細化処理」を強加工なしに熱処理のみで達成するプロセスを世界に先駆けて開発した.本研究の目的はこの新規開発鋼のさらなる特性向上,また社会普及に向け必要不可欠な,高強度化・延性発現機構の裏付け,すなわちメカニズムの理論的解明である.さらに本鋼材の長期使用における信頼性確保に重要な水素脆化に対し,「粒界改質微細化処理」がもたらす効果についても明らかにする.
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研究成果の概要 |
本研究では従来ほとんど注目されていなかった過共析鋼(高炭素鋼)に対し,組織制御により延性を具備させる方策を検討した.さらに開発鋼の特性向上,社会普及に向け必要不可欠な,高強度化・延性発現機構の裏付け,機能発現メカニズムの解明を目指し検討を行った.この研究成果として,2500MPaを超える最大強度と5%以上の塑性伸びを兼ね備える新鉄鋼材料の開発が実現されるとともに,強化を支配する組織学的因子が明らかとなった.これら成果の貢献を含めた形で,2023年春には株式会社コマツ,山陽特殊製鋼との共同開発により,商品名「タフィット」として,延性を備えた超高強度炭素鋼の実用化にまでつなげることができた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究にて実験,解析の両観点から,引張,シャルピー衝撃値といった各種力学特性に対し各制御パラメータが及ぼす影響度を明らかにした.具体的に,炭化物の粒径,分布が非常に強い影響を及ぼすとともに,これに加えさらに焼き入れ前の旧オーステナイト粒径が力学特性に強い影響を及ぼすことが示された.実際の組織観察結果と突き合わせることにより,この解析結果の妥当性についても確認された.このように本研究の遂行により学問的,実用的両観点から非常に大きな進展を得ることができ,実用化にまでつなげることができた.本鋼材のさらに広範な普及に向け求められるのは使用時の「長期信頼性」であり,引き続きこの点について検討を進める.
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