研究課題/領域番号 |
21H01654
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26040:構造材料および機能材料関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
兵頭 潤次 九州大学, エネルギー研究教育機構, 特任助教 (70736149)
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研究分担者 |
山崎 仁丈 九州大学, エネルギー研究教育機構, 教授 (30292246)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
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キーワード | オペランド赤外吸収分光法 / プロトン伝導性酸化物 / CO2還元 / 二酸化炭素還元 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、CO2からのメタン生成速度を高速化させる電極設計指針を得ることを目的とする。申請者が開発したBaZr0.4Sc0.6O3-δ電解質と金属電極から構成される界面を対象とし、赤外吸収分光法、電気化学計測およびガス分析を同時測定するオペランド観測を適用する。これにより、メタン電解合成に関与する活性中間体と反応経路の同定、およびメタン生成反応の電流効率定量を同時に行う。得られる界面情報をデバイス特性と関連付け、高効率メタン電解合成を実現する電極設計指針を提唱する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、BaZr0.4Sc0.6O3-δ電解質と金属電極で構成される界面を対象に、プロトン伝導性酸化物を用いたCO2還元反応場へ赤外吸収分光法、電気化学計測、ガス質量分析を同時に計測するオペランド観測法を適用し、メタン生成に関与する活性中間体の同定、反応経路、およびメタン生成反応の電流効率を明らかにすることである。 本年度は、昨年度導入したCO2還元反応膜型反応器評価用電気化学システム、および昨年度合成プロセスを開発したBaZr0.4Sc0.6O3-δ電解質を用いたアノード支持型セルを対象として電気化学的CO2還元特性を評価した。Niをカソード材料とした際のCO2還元特性を評価したところ、プロトン電流をカソードへ掃引することで、CO2ガスがメタン化反応を生じることを観測した。また、カソード電流量を増加することで、CH4生成速度が増加することを実測した。電流印加によるCH4生成速度増加量はファラデー則による期待値よりも小さいことから、水素供給による熱力学的反応駆動力増加がCH4生成速度を増加させたものと推測している。一方で、本セルで得られた結果はファラデー効率が約2%と著しく低く、触媒活性が低いことによりカソード過電圧が増大し、電解質からの電子リークが発生している状況であることが示唆された。 また、オペランド赤外吸収分光装置を用いた反応中間体、出口ガス分析の同時計測を試みた。CH4中間体であるC-H結合由来の吸収ピークを観測することができた。しかし、電圧印加によるピーク強度の変化は小さく、また、質量分析によるCH4生成速度の変化も観測できなかった。電解化学計測においては、電圧印加の効果が観測されていることから、触媒量やガス空間速度を最適化し、検出できる条件出しが必要であることが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、電気化学的CO2還元セルの評価や、オペランド赤外吸収分光法による反応中間体の評価を行えているものの、いずれにおいても電圧印加の効果を観測するためには、セル構成や反応条件の最適化が必要であることがわかった。電流掃引の効果を解明するための条件最適化に想定よりも長い時間を要しているため、上記評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、開発したBaZr0.4Sc0.6O3-δ電解質薄膜セルを対象とし、赤外吸収分光法による電気化学的CO2還元動作下における反応中間体生成熱力学およびダイナミクス評価に注力する。電流掃引効果を検出するための条件最適化に注力し、完了次第、ガス生成速度と中間体熱力学およびダイナミクスとの相関解明を目指した研究を推進する。
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