研究課題/領域番号 |
21H01670
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
深見 一弘 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60452322)
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研究分担者 |
北田 敦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30636254)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 陽極酸化 / シリコンカーバイド / 電析 / 欠陥 / イオン照射 / ダイヤモンド / SiC / 構造材料 / 電子材料 |
研究開始時の研究の概要 |
高い熱安定性、機械強度、化学安定性を誇るSiCを加工することは極めて難しい。我々はSiCの格子欠陥生成を定量的に制御することにより電気化学活性を著しく向上させ、陽極酸化により表面の加工が可能になることを見出してきた。本研究では結晶の対称性の破れがもたらすと考えられるSiCの活性化について、格子欠陥生成と格子振動励起を突破口として活性化機構の解明を目指す。SiC酸化反応にH2Oが必須であることに着目し、超高濃度水溶液を使い自由水の濃度制御下における表面微細構造形成に取り組む。陽極酸化により作製したポーラスSiCは電析による複合構造材料、SiC上の良質SiO2薄膜は高性能電子材料として展開する。
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研究実績の概要 |
昨年度は当初の想定以上に研究が進展したことから,本年度は新たな試みとしてシリコンカーバイドと構造類似性の高いダイヤモンドの陽極酸化処理に取り組んだ。市販のボロンドープダイヤモンドに対し,高エネルギーのSi(II)イオンを照射し,台結晶構造内に欠陥の導入を試みた。ラマン測定を実施したところ,イオン照射前のボロンドープダイヤモンドではsp3炭素結合に由来する散乱ピークが確認されたのに対し,イオン照射後の試料ではsp3以外にsp2炭素結合に由来する散乱ピークが確認できた。このことから,ダイヤモンドの結晶構造内にsp2炭素結合に相当する欠陥導入に成功した。高エネルギーSi(II)イオン照射を行ったボロンドープダイヤモンドを作用極に用い,三電極式電気化学セルを用いて陽極酸化挙動を調査した。イオン照射を行っていないボロンドープダイヤモンドに比べて,イオン照射を行った場合には酸化電流の立ち上がり電位が卑にシフトするとともに,より高電流密度で酸化反応が進行することが分かった。 一方,ポーラスシリコンカーバイドへの金属電析による複合材料化については,電析する金属の検討を進めた。優れた機械特性で知られるハイエントロピー合金やミディアムエントロピー合金の電析について検討を進め,water-in-oil型エマルションを用い,水相に増粘剤を,油相に乳化剤を添加することによってCoNiCuミディアムエントロピー合金の平滑電析を可能にした。また,より機械特性に優れるCrCoNiミディアムエントロピー合金の電析についても検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな試みとしてボロンドープダイヤモンドの陽極酸化に取り組み,一定の成果が得られた。また,当初計画していたポーラスシリコンカーバイドへの電析について,電析対象をハイエントロピー合金あるいはミディアムエントロピー合金に定め,その電析方法を開拓することができた。これらの成果から,概ね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に作製が可能となったポーラスシリコンカーバイドを電極として用い,ハイエントロピー合金やミディアムエントロピー合金の電析を行う。これにより従来にない強度と靭性を両立するシリコンカーバイド・合金複合材料の創製に取り組む。一方,電子材料への応用を目指して,陽極酸化によるシリコンカーバイド表面へのSiO2形成の高精度化に取り組む。特に,シリコンカーバイドとSiO2の界面に生成するSiOxCyのような炭素を含む界面層について,その形成機構を明らかにするとともに,その生成を回避する方策について検討を進める。
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