研究課題/領域番号 |
21H01677
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分26050:材料加工および組織制御関連
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研究機関 | 公益財団法人高輝度光科学研究センター |
研究代表者 |
一柳 光平 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 研究員 (70435618)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
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キーワード | 量子ビーム / 衝撃破壊 |
研究開始時の研究の概要 |
指向性の高い放射光X線パルスに対してX線集光系を用いることでX線パルスの集光時における発散角を利用したシングルショット型角度分散型時間分解X回折測定法を開発する。このX線パルスを用いたその場計X線回折測法は、通常の放射光を用いたX線回折測定で必要な角度スキャンをせずに1パルスでX線回折測定が可能になる。このシングルショット型角度分散X線回折法によりレーザー衝撃波伝搬下における金属材料の衝撃破壊の転位生成・成長過程を明らかにし、低い歪み速度における破壊メカニズムと異なる衝撃波伝搬下における転位生成・成長のフォノン粘性抵抗因子の基礎理論を構築する。
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研究実績の概要 |
高い歪速度における材料の衝撃破壊は、音速で伝搬する衝撃波が起因となっているため高速不可逆変形であるためその場計測による定量化が難しい。本研究は、X線多層膜ミラーを用いたシングルショット型角度分散の時間分解X線回折法を開発し、金属材料の衝撃破壊下における転位生成・成長過程のフォノン粘性抵抗因子を明らかにすることを目的として実施した。今年度は、昨年度設計した湾曲型X線多層膜ミラーの集光試験を高エネルギー加速器研究機構のPhoton Factory-Advanced Ring (PF-AR)の時間分解測定専用ビームラインであるAR-NW14Aビームラインで行った。X線多層膜ミラーはシリコンウエハーにRu/Cをコートし、X線を集光するために湾曲しさせる必要があったため、0.05 mmまで研磨し薄いウエハー状にした。またX線多層膜ミラーの曲率は、曲率を保持するために集光するための曲率がついて銅製の治具に高熱伝導性の接着剤により貼り付けX線多層膜ミラーを作製した。シングルバンチモードで運転しているPF-ARの12 keVのX線パルスを本研究で開発したX線多層膜ミラーを用いてX線ビームモニターで水平方向に集光されていることを確認した。X線パルスが集光されていることが確認できたため、現在角度分散型の時間分解X線回折測定に向けて準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二年目は、角度分散型の時間分解X回折測定するための心臓部であるX線多層膜ミラーの実装試験を行った。シリコンにRu/Cを成膜したX線多層膜ミラーを湾曲させることで小型なミラーを作製することが出来た。また時間分解X線測定するために使用する12 keV、100 psの硬X線パルスを用いて集光テストを行った。最終年度は、衝撃波を生成する高強度Nd:YAGレーザーとX線パルスを同期するシステムを構築し、分散角度を持つX線パルスを用いた角度分散型の時間分解X線回折測定により、金属の衝撃波による衝撃塑性破壊過程のその場観測を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である3年目は、PF-ARのAR-NW14Aビームラインでナノ秒のパルス幅を持つ高強度Nd:YAGレーザーと12 keV、100ピコ秒の硬X線パルスの同期システムを構築し、シングルショットの角度分散型の時間分解X線回折装置により、金属材料である銅単結晶やシリコン結晶の衝撃塑性破壊過程のその場観測を行う。角度分散を持つX線パルスを用いることで音速で伝搬する衝撃波内の衝撃波伝搬方向と波の伝搬方向に対して垂直方向のX線回折測定を行い、歪速度が速い場合の弾性-塑性転移ダイナミクスを明らかにし、転位生成・成長過程を理解することを最終目的とする。
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