研究課題/領域番号 |
21H01747
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28020:ナノ構造物理関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
佐々木 成朗 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (40360862)
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研究分担者 |
三浦 浩治 電気通信大学, ナノトライボロジー研究センター, 客員教授 (50190583)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 超潤滑 / フラーレン / グラフェン / 接触 / 分子シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、主に理論シミュレーションの立場から、ファンデルワールス層状物質/ナノカーボン分子界面が超潤滑性を示すメカニズムを、荷重と積層構造の相関に着目して解明することである。具体的には、分子動力学法を用いて、積層界面にかかる荷重を増加させたときの、摩擦力の変化をシミュレートして、摩擦力の荷重依存性を得る。次に、荷重の増加による界面の変形によって、どの層間滑りが支配的になるのかを明らかにする。そして摩擦力顕微鏡の測定結果を考慮して、摩擦の荷重依存性のメカニズムを解明し、荷重と積層の相関を考慮した超潤滑制御の提案を目指す。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き、分子力学シミュレーションを用いて、グラフェン/C60/グラフェン積層界面の滑り過程の荷重依存性のメカニズムとしてC60分子のダイナミクスの素過程を調べた。我々のグループで開発したTersoffポテンシャル-拡張LJポテンシャル複合モデルにもとづくエネルギー極小化手法を用いて界面構造を最適化し、界面C60分子の滑り過程を2つの構造パラメタで説明した。 第一のパラメタは垂直方向のC60分子の傾き角度である。c軸([0001]方向)と走査方向([1120]方向)が形成する面に垂直な軸を中心に、C60はグラフェンの格子周期で回転(傾き)運動を行う。第二のパラメタは、水平面内のC60分子上下の六員環面とグラフェンシート面間の積層構造である。滑り過程では、上下の積層構造共に、エネルギー的に安定なAB積層を保つように動くことから、C60の傾き角度は上下六員環積層のずれ変位で記述できる。そして、この傾きの効果を考察することによって、C60の連続的なスライド運動や不連続なスリップ運動の起源が、隣接した上下界面のAB積層配向への固着であることが明らかになった。重要なのは、上下界面のAB積層が同位相、逆位相になる場合があり、それに応じて走査方向によってC60とシート間の固着の安定性が異なるため、C60のスライド、スティック、スリップの現れ方に違いが生じることである。 このように、今年度はC60分子の傾きの自由度と、水平面内のC60分子の六員環とグラフェンシートの積層構造の両方に着目することで、界面構造の変化を理解し、それにもとづいて水平力が変化するメカニズムを説明することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度、今後の研究の推進方策の一つとして取り上げた界面C60分子のダイナミクスを、今年度、グラフェン/C60/グラフェン界面の上下のAB積層構造の観点から明確に議論することに成功した。これにより、本研究のテーマである界面の積層構造と荷重との相関を系統的に議論するきっかけをつかむことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に、低荷重領域での平均水平力の荷重依存性から、各積層構造で動摩擦係数が著しく変化し、封入C60の分子配向が摩擦特性に極めて大きな影響を与えることが判明している。特に整合性の良い走査方向へのAB積層配向の場合、アモントン・クーロン則(摩擦が荷重に比例する)が、低荷重領域(平均荷重<Fz> < 1 nN)で成立し、高荷重領域では破綻することが分かった。一方、今年度はC60分子の傾きの自由度と、水平面内のC60分子の六員環とグラフェンシートの積層構造の両方に着目することで、界面構造の変化を理解し、それにもとづいて水平力が変化するメカニズムを説明することに成功した。 そこで最終年度は、低荷重領域におけるグラフェン/C60/グラフェン界面の摩擦特性、特に超潤滑特性における荷重、C60分子配向、走査方向(異方性)の相関を系統的に調べ、新しい超潤滑システムの設計指針の提案につながる研究を推進したい。
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