研究課題/領域番号 |
21H01774
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分28040:ナノバイオサイエンス関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
葛谷 明紀 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (00456154)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | DNAオリガミ / 人工抗体 / 分子機械 / 超解像蛍光顕微鏡 / 発光タンパク質 / BRET / FRET |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者が世界に先駆けて独自に開発した「ターゲット分子を挟むように結合することでX字の開いた構造から=型の閉じた構造に変形するDNAオリガミ分子機械」を本体に使用することで、アロステリックな動作機構を示すDNAナノ構造体ベースの「人工抗体」を構築することを目的とする。さらに、これを超解像イメージング法を活用して単分子観察することにより、生体分子を一分子レベルで検出することができる超高感度検出法に応用するための方法論も追求する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は今日の医療分野で広く利用されている「抗体分子」(特にIgG抗体)を模倣し、さらに高度な機能性を付与した「人工抗体」を、タンパク質以外を使用 して構築することを目的とする。そのために、DNA二重らせんを束ねて望みのナノ構造体を構築する技術である「DNAオリガミ法」を用いて、研究代表者が世界に 先駆けて独自に発表した「動く」ことで機能する「DNAオリガミ分子機械」を人工抗体の本体部として使用し、さらにこの分子機械の構造変化を超解像イメージング法でリアルタイム観察することにより、生体分子を一分子レベルで検出することができる超高感度検出法を開発することをめざしている。本年度は昨年度新たに見いだした1. DNAを足場に活用した生物発光共鳴エネルギー移動/蛍光共鳴エネルギー移動複合システムについてより詳細に検討し、2. 蛍光修飾したDNAオリガミの顕微鏡観察、についても引き続き検討を行った。その結果、1. これまでに実現していた緑色蛍光色素を利用した青色→緑色の発光色変調に加えて、緑色蛍光色素から赤色蛍光色素へのフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)を活用して、鮮明な赤色への色調変調に成功した。さらに、DNA末端で再構成した発光タンパク質を分子内単分子励起源として、複数の同種蛍光色素間のFRETを介して、本来エネルギー移動が起こりえない長距離までエネルギーを伝送することにも成功した。2. については、ガラス基板上に固定化したDNAオリガミ構造体を原子間力顕微鏡で明瞭に可視化することに成功し、修飾した蛍光色素からの蛍光も観察することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
DNAを足場に活用した生物発光エネルギー移動システムについて、複数の蛍光色素を介したエネルギー伝送系の構築まで成功しており、昨年に引き続きこの項目については、当初計画以上の成果が得られている。DNAオリガミ分子機械の超解像観察についても、ガラス基板上に固定化したDNAオリガミを原子間力顕微鏡で明瞭に観察することに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
DNAを足場に活用した生物発光エネルギー移動システムについて、発光タンパク質を分子内単分子励起源としたエネルギー伝送系についてより詳細に検討し、複数のアクセプターへの伝送路の切り替えや、逆に複数の励起源からのエネルギー集積系などを構築する。またDNAオリガミ分子機械の超解像観察についても、これまでの取り組みを継続し、ガラス基板上に固定化したDNAオリガミ分子機械について、原子間力顕微鏡と全反射蛍光顕微鏡でそれぞれ観察することによ り、DNAオリガミ分子機械の蛍光顕微鏡観察の基礎的技術を早期に確立することをめざす。
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