研究課題/領域番号 |
21H01793
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29010:応用物性関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 顕一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00634982)
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研究分担者 |
須田 理行 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80585159)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
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キーワード | キタエフスピン液体 / マヨラナ粒子 / チャーン数 / スピンゼーベック効果 / 比熱 / マヨラナギャップ / トポロジカル物性 / 磁場角度回転比熱 / キャリアドーピング |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、現実物質における磁場印加や不純物効果に対するキタエフ量子スピン液体の安定性を明らかにすることを目的として、α-RuCl3において、マヨラナ粒子に由来する創発準粒子の出現の有無を規定するトポロジカル不変量(チャーン数)を比熱などの熱力学量測定を通じて詳細に調べる。さらに、キタエフ量子スピン液体において理論的に予測されているトポロジカル超伝導相を探索するために、α-RuCl3に対して、電界効果によるキャリアドーピングを施し、キタエフ量子スピン液体を母体とする新奇トポロジカル電子相の探索を行う。本研究により、現実のキタエフ量子スピン液体物質におけるマヨラナ粒子の理解を飛躍的に向上させる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、キタエフ量子スピン液体物質において、マヨラナ粒子が発現する条件を明らかにし、さらにトポロジカル量子相を制御する実験手法を確立することである。そのためには、トポロジカル不変量(チャーン数)を実験的に決定することが必要不可欠である。すでに前年度までの研究により、キタエフスピン液体候補物質α-RuCl3において、磁場中比熱測定を12テスラ・ヘリウム3温度まで行うことで、マヨラナギャップの観測を通じて、チャーン数を実験に決定する手法を確立している(O. Tanaka et al., Nature Physics 18, 429-435 (2022))。 当該年度は、さらに極低温・高磁場領域での実験を可能とするために、14テスラマグネット付きの無冷媒希釈冷凍機に、ピエゾ素子で駆動する3次元回転機構(attocube社製atto3DR)を組み合わせた磁場角度回転比熱測定システムを構築し、α-RuCl3において、磁場をb軸方向に高精度に合わせ、比熱測定を行った。その結果、200 mKまでギャップレスな励起が観測されることを明らかにした。これは、マヨラナ励起の特徴的な磁場印加方向依存性を反映したものであり、本実験結果はα-RuCl3において、マヨラナフェルミオン励起が存在することを強く示唆するものである。 また、当該年度は、カイラル・マヨラナエッジ流をスピンゼーベック効果により検出するために、スピンゼーベック効果を低温まで測定できるシステムの構築を無冷媒12Tマグネットにおいて行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
14Tマグネット付き無冷媒希釈冷凍機とピエゾ素子で駆動する3次元回転機構を組み合わせた磁場角度回転比熱測定システムを構築し、α-RuCl3において、マヨラナフェルミオン励起が存在することを強く示唆する実験結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
α-RuCl3に対して、スピンゼーベック効果の測定を行い、マヨラナ・カイラルエッジ流の検出を試みる。
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