研究課題/領域番号 |
21H01813
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分29020:薄膜および表面界面物性関連
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研究機関 | 岐阜大学 (2023) 大阪大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
久保 理 岐阜大学, 工学部, 教授 (70370301)
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研究分担者 |
田畑 博史 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (00462705)
中山 知信 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 副拠点長 (30354343)
片山 光浩 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70185817)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | ゲルマナン / トランジスタ / 電気伝導 / マルチプローブ / 層状物質 / 移動度 / 二酸化バナジウム / ミスト化学気相成長 / イオン交換 / スタナン |
研究開始時の研究の概要 |
14族元素のゲルマニウム(Ge)やスズ(Sn)の単原子層構造は、グラフェンに匹敵する高キャリア移動度を持つだけでなく、両面を水素終端することでグラフェンでは実現が難しいバンドギャップを形成できる。Geの水素終端シート・ゲルマナンは、電子移動度が室温で結晶Geの5倍となることが予測されているが、実験報告ではその2桁以上低い値に留まっている。またSnの水素終端シート・スタナンは、電界によってギャップ自体が変調可能であることが理論的に示されているが、その作製報告はない。本研究では、これらの材料で期待される機能を実現するべく、高品質な材料創成、およびトランジスタ作製プロセスの構築を行う。
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研究実績の概要 |
本年度はゲルマニウム単層の両面をメチル基で終端したメチル化ゲルマナン(GeCH3)をチャネルとした電界効果トランジスタ(FET)の特性の調査を行った。温度を変化させて移動度を計測した結果、前年度に水素化ゲルマナン(GeH)で観測された、室温付近からの移動度の急激な減少は見られなかった。これは、GeHに比べて温度安定性に優れることを示唆していると考えられる。また、ソース・ドレイン電極の金属種類については、GeHにおいては前年度にNiがよいとの結果を得ていたが、GeCH3の場合には、Ni電極使用時はp型動作のみを観測し、そのホール移動度はGeHを完全に上回ることがわかった。一方、Ti電極使用時にはn型動作も確認できたが、現在得られている電子移動度はGeHを下回っている。 また、前年度に試みた錫の水素終端シート・スタナンの作製のため、母材料となる錫化バリウム(BaSn2)の高純度化について検討したが成功には至っていない。一方、スタナンと同様に電界によってバンドギャップの大きさを変調できる材料として二酸化バナジウム(VO2)に着目し、本年度より本格的な作製・評価を開始した。これまでにもVO2はパルスレーザー蒸着法をはじめ様々な手法で作製されているが、どの手法においてもドメインサイズが小さく、性能が安定しないことが問題となっている。本研究では、最近あらたな薄膜成長手法として注目されているミスト化学気相成長法にを用いたVO2成膜を試みている。既に成膜には成功しており、電界変調ではないが、通常の金属―絶縁体転移の観測にも成功した。 本研究では、ゲルマナンをはじめとした創製材料の電気伝導と欠陥などの相関を解明するため、多探針走査プローブ顕微鏡を活用する予定であり、2022年8月に簡易型の走査電子顕微鏡の導入が完了した。今後は創製材料の伝導特性のマルチプローブ計測を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多探針走査プローブ顕微鏡への簡易型の走査電子顕微鏡の導入が2022年8月に完了・動作確認できたことから、今後の研究への活用準備が整った。錫の水素化シート・スタナンについては、現状では母材料である錫化バリウム自体の作製に困難をきたしている。これに代わる材料として、二酸化バナジウムのミスト化学気相成長法による成膜を開始した。上述のとおり既に金属―絶縁体転移の観測にも成功しており、2022年秋の応用物理学会や国際会議で発表するなど、順調に推移している。 また、前年度得られた水素化ゲルマナンのトランジスタ特性評価については、英文雑誌に投稿し、掲載された。現在はメチル化ゲルマナンの特性評価を進めており、こちらも2022年秋の応用物理学会で成果発表を行った。 以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
メチル化ゲルマナン(GeCH3)については、p型伝導が優勢であり、GeHに比べて移動度が高いことがわかった。しかし、理論的に予測されている移動度に比べると1桁以上低い値である。本研究のテーマの一つは、ゲルマナンをはじめとした創製材料の電気伝導に対する欠陥などの局所構造の影響をマルチプローブ計測で探索することである。当初予定より遅くなったが、次年度より活用を進める予定である。 一方、錫の水素終端シート・スタナンについては、現時点では母材量である錫化バリウムの高純度化が困難と判断した。代わりに着手した二酸化バナジウム(VO2)のミスト化学気相成長法による成膜が順調に進んでいることから、今後はこの研究にも注力していく。既に温度による金属―絶縁体転移は確認済であり、今後はVO2をチャネルとした電界効果トランジスタ作製と評価を進めていく。
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