研究課題/領域番号 |
21H01830
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分30010:結晶工学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2021) |
研究代表者 |
重川 直輝 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (60583698)
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研究分担者 |
嘉数 誠 佐賀大学, 理工学部, 教授 (50393731)
大野 裕 東北大学, 金属材料研究所, 学術研究員 (80243129)
梁 剣波 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (80757013)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | ダイヤモンド / シリコン / 接合界面 / 中間層 / 耐熱性 / 表面活性化接合 / ダイヤモンド//Si接合界面 / 熱処理 / 立方晶SiC中間層 / ヘテロエピタキシャル成長 / ダイヤモンド//シリコン接合 / HAADF-STEM / EDX / X線回折 |
研究開始時の研究の概要 |
表面活性化接合により形成されるダイヤモンド/Si直接接合界面は両者の大きな熱膨張係数差にかかわらず1000℃の耐熱性を示す。熱処理時に形成される中間層が耐熱性実現の重要な役割を果たしていると予測される。本研究においては、高分解能電子顕微鏡観察、微小領域ラマン散乱測定、X線小角散乱などの先進的な評価手法を駆使し、界面のナノ構造、歪、通電時の自己発熱効果を測定する。界面の耐熱性や熱伝導特性において中間層が果たす役割を解明し、応用可能性を探索する。
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研究実績の概要 |
1000℃にて熱処理を行ったシリコン//ダイヤモンド接合界面のHAADF-STEM像の解析を行い、界面に観測されたシリコンカーバイド化合物層が立方晶SiC(c-SiC)微結晶からなること、すなわち接合界面におけるc-SiC//ダイヤモンド構造が熱的に安定であり、かつシリコンとダイヤモンドの熱膨張係数差の効果を緩和する効果があること、を明らかにした。 この知見に基づき、スパッタリングにより厚さ~10 nmのSiC薄層を堆積したダイヤモンド基板と異種材料であるGaNエピタキシャル層との接合を表面活性化接合により形成した。接合に先立ち表面のAFM観察を行い、SiC薄層の堆積によりダイヤモンド基板の平均表面粗さが0.77 nmから0.37 nmへと改善することを見出した。ダイヤモンド//GaN接合の1000℃熱処理を行い、接合界面のナノ構造の熱処理による変化及び接合の熱的安定性を調査した。界面のHR-TEM観察、得られた像のFFT解析、EELSを用いることにより、熱処理前のSiC薄層のナノ構造はアモルファスであることが分かった。更にシリコン//ダイヤモンド界面と同じく1000℃熱処理後のSiC薄層はc-SiC微結晶からなること、界面は1000℃熱処理に対して安定であること、を見出した。この結果はダイヤモンドと接合後にGaN層上にオーミック電極形成、更にはGaN素子作製が可能であることを意味し、応用上も重要である。得られた結果をもとに国際会議及び論文発表を行うとともに、特許出願を行った。 接合界面の歪評価の知見に基づき、Irバッファ層上のダイヤモンドのヘテロエピタキシャル成長において、Irバッファ層、ダイヤモンド層中に生ずる歪とダイヤモンド成長モードの相関を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していなかった、ダイヤモンドの新奇かつ応用上価値の高い接合界面形成手法の実現、ダイヤモンドのヘテロエピタキシャル成長における歪の効果の解明につながる成果が得られた。国際会議、学術論文に加えて特許出願も行っており、おおむね順調に進捗していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
ダイヤモンドと異種材料の新たな接合形成手法の開拓、同接合界面ナノ構造の熱処理制御、Si以外の異種材料との界面形成時の歪の効果解明へと研究を展開する。
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