研究課題/領域番号 |
21H01853
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
浅井 圭介 東北大学, 工学研究科, 教授 (60231859)
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研究分担者 |
越水 正典 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (40374962)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 熱蛍光 / 誘電性相転移 / 中性子 / 線量測定 / 誘電体 / 誘電性 / 線量計 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、強誘電状態から常誘電状態への相転移に伴う熱蛍光を実現し、放射線の線量測定における感度を劇的に上昇させる。これを放射線計測に用いることにより、線量測定における劇的な感度向上を図る。さらには、熱的な相転移ではなく、圧力や電場の印加を通じた蛍光の読み出しも試みる。このような操作による高強度の熱蛍光の実現を通じて、蓄積型蛍光体を用いた線量測定における超高感度化を実現する。
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研究実績の概要 |
本研究では、強誘電状態から常誘電状態などへの誘電性相転移に伴う熱蛍光を実現し、放射線の線量測定における感度を劇的に上昇させることを目的とした。従来の熱蛍光体においては、放射線の照射により生じた電子正孔対の一部が、不純物(ドーパント)や欠陥などの局在中心に捕獲され、その後の加熱による再結合により蛍光(熱蛍光)を生じる。一方で、本研究で採用する誘電性相転移においては、電子や正孔の捕獲サイトのポテンシャルの顕著な変化により、捕獲されている全ての電子や正孔が捕獲サイトから離脱し、それらの再結合による蛍光が生じるため、従来の手法と比較し、熱蛍光強度が著しく増大すると期待した。この機構の導入により、従来の100倍以上の熱蛍光強度の増大を予想している。このような過程による高強度の熱蛍光の実現を通じて、蓄積型蛍光体を用いた線量測定における超高感度化を実現することを目的とした。 今年度の研究では、主に酸化物系の誘電体材料に基づく熱蛍光体を開発した。特に、強誘電体光学材料として著名なLiTaO3において、実用化されているフッ化物系熱蛍光体を顕著に凌駕する熱蛍光強度を実現した。このことは、本研究のゴールである誘電体相転移を利用した高感度化における必要条件として、電子正孔対を多数捕獲可能な系を見出した点において重要である。さらに、添加した希土類イオンにより異なる熱蛍光挙動が得られたため、電子の捕獲サイトとして、酸素空孔以外のサイトも提供可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
誘電体材料において、市販の熱蛍光材料を顕著に上回る熱蛍光強度を達成し、なおかつ複数の電子トラップサイトを準備することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
見出した熱蛍光体のうち、LiTaO3をベースとし、異なるアルカリ金属元素やTaの同属元素を用いた混晶において、熱蛍光の観測・実現に適切な誘電体相転移温度を実現し、その系における熱蛍光強度を誘電体相転移によって顕著に増大させる。
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