研究課題/領域番号 |
21H01857
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村上 健太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50635000)
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研究分担者 |
叶野 翔 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (00742199)
鈴木 達也 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (70323839)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
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キーワード | 原子力材料 / 照射損傷 / イオンビーム / 原子力工学 / 格子欠陥 |
研究開始時の研究の概要 |
原子力構造材料の照射劣化評価において、同等の照射量を与えても線量率が違う場合、異なるレベルの照射劣化が発現することを線量率効果という。本研究は、線量率効果の有無を短時間でスクリーニングする手法を提案する。これによって、材料試験炉を使った照射試験を大幅に短縮することが見込まれる。この手法は、一つの高速中性子による材料中の擾乱を精緻にモデル化することに基づいている。鍵となるパラメータは、実用材料における実効的な照射欠陥の拡散定数とシンク強度である。本研究は、両者の計測のため、残留抵抗率法と加速器結合型透過電子顕微鏡法を用いた実験手法を開発する。本研究の成果は幅広い材料開発に応用可能である。
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研究実績の概要 |
原子力構造材料の照射劣化評価において、同等の照射量を与えても線量率が違う場合、異なるレベルの照射劣化が発現することを線量率効果という。本研究は、イオン照射を用いた二種類の手法を提案し、両者を相補的に活用することにより、様々な材料における線量率効果の有無を効率的にスクリーニングすることを目指している。 一つ目の、低温照射と残留電気抵抗率測定法を利用した手法は、当初計画を少し修正し、東京大学本郷キャンパスで試料作製、浅野キャンパスで液体窒素温度でイオン注入、東海村キャンパスと浅野キャンパスで残留抵抗率測定を行う計画に修正した。多様な試料を評価できる体制を整えると共に、複数の施設に運搬可能な計測装置と制御プログラムを整備した。 二つ目の、組み合わせイオン照射法を含む照射in-situ 透過電子顕微鏡法による手法では、ステンレス鋼に見られるNi-Si析出物の形成初期過程に着目した。昨年度までに、ステンレス鋼中における転位ループの形成に対する線量率効果を評価し、影響を受けやすい条件を把握していた。特に、初期に高い線量率で照射を行うと、照射欠陥の長距離拡散が抑制されて、転位ループ等が高密度に分布することが示された。今年度は、溶質原子の偏析および析出の挙動に着目し、数個の原子が集合して析出物の核を作る現象を数値解析によって定量化することができた。両者を組み合わせることで、Ni-Si析出物に対する線量率の効果を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
残留抵抗率法の実験設備の整備に時間を要したが、共同利用施設の運営状況の変更と合わせて研究計画を見直すことで、おおむね当初予定した段階に到達した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、照射欠陥の定量的な挙動と、ミクロ組織観察結果を組み合わせ、線量率効果をうまく表現できるようなモデルを提案する予定である。
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