研究課題/領域番号 |
21H01881
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柳井 毅 名古屋大学, 理学研究科(WPI), 教授 (00462200)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 多参照理論 / 無輻射死活 / プロトン移動 / 密度行列繰り込み群 / 失活速度定数 / 密度行列くりこみ群 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,高精度・高効率な多配置波動関数理論である密度行列繰り込み群(DMRG)法を拡張し,状態遷移を伴う反応過程での励起状態の構造・反応経路探索や状態間結合定数を頼性高く計算するための解析的微分法(エネルギー核座標微分と非断熱結合の計算法)を開発する。多配置的なDMRG理論による高精度なエネルギー曲面や状態間結合定数の情報からフェルミの黄金律の数値計算を行い内部転換や項間交差の速度定数を評価する手法の実装も行う。ホスホールオキシド骨格の蛍光バイオプローブの無輻射失活過程や生物模倣分子モデル分子のPCETのマーカス理論の逆転領域の機構解明を上記レベルの理論計算法を用いて実現する
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研究実績の概要 |
多状態多参照DMRG-XMS-CASPT2計算の解析的エネルギー核座標微分と非断熱結合定数の計算プログラムの確立に向けた理論開発を進めた。本年度は,その零次近似に相当するSA-DMRG-CASSCF計算の解析的エネルギー核座標微分法を開発に成功した。定式化および実装を達成し,テスト計算からその妥当性を確かめた。成果は論文として発表された。失活過程の速度定数を定量的に見積もるための手法の実装に関する研究を行った。本理論手法を用いた実験研究者との共同研究を実施した。本研究では,リン原子含有パイ分子の酸化効果による蛍光量子収率の違いを理論計算から明らかにす ることができた。計算では,ホスフィンおよびそのP=O型,チオフェン置換などの分子にチアして基底状態および光励起状態の電子状態計算を行い,その計算から得られた電子状態の情報か ら,本速度定数シュミレーションから輻射及び無輻射失活の速度定数を見積もった。その速度定数のシミュレーション結果から,実験で観測された蛍光量子収率 の置換効果を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SA-DMRG-CASSCFの解析的微分の定式化および実装を達成した。失活過程の速度定数を計算する実装が実施され,共同研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
微分コードの一部として非断熱結合(NAC)定数のプログラムも実装される。DMRG- SA-CASSCFの微分コード が完成したのち,二次摂動に よる電子相関補正XMS-CASPT2計算法へと繋げる。従来型XMS-CASPT2計算コードのプロトタ イプ実装(ShiozakiらJCP 2015)は,塩崎 との共同研究 により確立している。速度定数の計算法について新しい拡張を行う。
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