研究課題/領域番号 |
21H01890
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32010:基礎物理化学関連
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
香月 浩之 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (10390642)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
|
キーワード | 振動ポラリトン / 超高速分光 / 強結合状態 / 液晶分子 / 超強結合状態 / コヒーレント制御 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、中赤外波長程度の光路長を持つ微小共振器中で分子振動遷移とキャビティ光子が強く相互作用することで生じる超強結合状態の準粒子(振動ポラリトン)を対象に、そのピコ秒時間領域での超高速ダイナミクスの研究を行う。超強結合状態では、ポテンシャル曲面が局所的に歪むと考えられており、結果的にその領域を運動する量子波束は通常とは異なる経路を辿ると期待される。本研究では、可変長フロー型キャビティの開発とフェムト秒ポンププローブ分光を応用して、超強結合状態にある振動ポラリトンの超高速ダイナミクスを明らかにし、新たな光化学反応制御の手法を確立することを目指す。
|
研究成果の概要 |
本研究において、光と分子振動が混成した振動ポラリトンと呼ばれる量子状態を対象に、従来のスペーサを利用せずキャビティ長を1~100μmにわたる広い範囲で調整できる新しい実験手法を提案した。さらに液晶分子の温度変化による相転移がポラリトン状態に及ぼす影響を解析し、ポラリトン状態が通常のバルク試料とは異なる配向分布を持つことが示唆された。さらに、有機分子試料における超短パルスを用いたポンププローブ計測を行い、有機分子試料において初めてポラリトン状態のダイナミクスの観測に成功した。これらの成果は未だ黎明期にある振動ポラリトンの分野において、新たな知見をもたらす重要な成果である。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
光との強結合によって物質の性質を変える可能性を持った振動ポラリトンという状態の研究において、スペーサを利用しない可変長キャビティ構造を提案した。液晶分子の相転移によるラビ分裂変化の情報から、キャビティ内での分子間相互作用がバルク状態とは異なっている可能性を見出した。この結果は、これまで報告されている振動ポラリトンの特性とも関連していると考えられる。超高速分光によって振動ポラリトンの緩和ダイナミクスを直接観測する手法を化学反応と密接に関連した有機分子に展開した。以上の結果は振動ポラリトンが獲得する新奇特性の原因を理解する上で重要な貢献である。
|