研究課題/領域番号 |
21H01908
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分32020:機能物性化学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
羽會部 卓 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70418698)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 多励起子生成反応 / 一重項分裂 / 分子集合体 / 多励起子生成 |
研究開始時の研究の概要 |
励起子の生成効率が100%を遙かに超える多励起子生成反応は吸収した光エネルギーを効率よく活用できるため、太陽光発電等などのエネルギー変換利用に大いに期待されている。本研究では多彩な材料系への展開を視野に合成化学的に構造制御されたメゾスケールの分子集合体系を構築する。従来の多励起子生成反応にはない革新的機能を実現する。
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研究実績の概要 |
分子集合体の光化学は光エネルギー変換・エレクトロニクスから医療応用まで様々な分野を網羅する。しかしながら、その重大な問題点は単量体と比較して吸収した励起エネルギーが励起子-励起子消滅等により迅速に失活することである。その解決策として近接した二分子間での多励起子生成反応であり、生成した三重項励起子の量子収率が200%の一重項分裂(Singlet Fission: SF)が挙げられる。この励起子の倍増が可能なSFを種々の反応系で格段に汎用性を高めるために、本研究ではSF材料の探索へ展開した。 今年度の成果の一つとして、テトラセン(Tc)ヘテロオリゴマーにおけるSFと励起子拡散過程の観測が挙げられる。材料合成として末端にエネルギー受容型のフッ素置換テトラセンを連結したTc-hetero-オリゴマー[TcF3-(Tc)4-TcF3]を新たに合成した。オリゴマーにおけるTcの数の増加とともに相関した三重項対の解離を促進し、分子内一重項分裂による独立した三重項励起子の逐次的な励起子トラップ過程が観測され、捕捉三重項収率は176 %となった。さらに、温度依存時間分解分光測定よりTc-ホモオリゴマー[(Tc)n: n=2, 4, 6]を含めて比較することで、Tcユニット数に対するエントロピー利得効果も明らかにした。 もう一つの成果として、SFの外部刺激に夜効果に着目し、溶液中のペンタセンダイマーのSFに対する溶媒および静水圧の影響を検討した。その結果、極性溶媒中でのペンタセンダイマーにおいては、加圧によってSFが促進されることが見出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共有結合で連結したアセンオリゴマー系において一重項分裂とその後の励起子拡散過程が実験的に明らかとなり、SFが関与する逐次反応系が観測されたため。
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今後の研究の推進方策 |
超分子的な分子運動と一重項分裂が融合した系の構築に取り組む。
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