研究課題/領域番号 |
21H01913
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩本 武明 東北大学, 理学研究科, 教授 (70302081)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2021年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | 14族元素 / 高周期元素 / 多重結合 / 結合活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
隣接位に孤立電子対軌道や空軌道を持つ高周期14族元素多重結合化合物は、高活性な高周期14族元素多重結合軌道と隣接軌道との相乗的な軌道相互作用により、大きな結合エネルギーの結合を活性化させると期待される。本研究ではこのような特徴を持つ新規高周期14族元素二重結合化合物を合成し、それらの分子構造と電子状態の解明、および結合エネルギーの大きい結合を持つ分子との反応性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
ケイ素-ケイ素二重結合上の選択的な置換基変換反応を用いて、二重結合ケイ素上に13族元素置換基であるボリル基、15族元素置換基であるホスフィニル基がそれぞれ1つおよび2つ導入された一連のケイ素-ケイ素二重結合化合物を合成した。合成した化合物の分子構造をX線構造解析およびNMRスペクトル、量子化学計算により明らかにした。 ケイ素-酸素二重結合を持つジアルキルシラノンと種々のトリアリールボラン類と反応してボラン上のC-B結合を活性化させる反応を詳しくを検討し、ボラン上のアリール基が反応速度に及ぼす効果について明らかにした。また、単離可能な高周期14族元素-酸素二重結合化合物として、ケトンのゲルマニウム類縁体、ジアルキルゲルマノンを新たに合成した。この化合物は対応するジアルキルシラノンよりも活性が高く、THFが配位した錯体として単離することができ、その構造と反応性を明らかにした。 また、嵩高いアルキル基を不飽和ケイ素上に持つケイ素-ホウ素二重結合化合物(ボラシレン)を安定化合物として合成した。不飽和ケイ素上にアルキル基とアミノ基を一つずつ持つボラシレンは極めて反応性が高く、純粋な化合物として単離することができなかったが、不飽和ケイ素上に2つアルキル基を持つボラシレンについては、赤色結晶として単離することに成功した。このジアルキルボラシレンは結晶中で不飽和ケイ素周りが大きくピラミッド化した構造を持つことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していた化合物の合成がおおむね順調に進んでいるとともに、隣接軌道が関与する結合活性化についても徐々に明らかになりつつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
ケトンのケイ素類縁体(シラノン)と様々な基質との反応性を引き続き検討し、小分子活性化試剤として可能性を追究する。また、シラノンと同じ立体保護基を用いることで単離することに成功したケトンのゲルマニウム類縁体ジアルキルゲルマノンのTHF錯体の反応性を検討する。特にジアルキルシラノンとジアルキルゲルマノンの反応性の比較を通して、高周期14族-酸素二重結合の反応性や結合活性化能に及ぼす高周期14族元素の効果の系統的理解を進める。 今年度合成した嵩高いアルキル基を不飽和ケイ素上に持つケイ素-ホウ素二重結合化合物(ボラシレン)および嵩高いアルキル基とアミノ基を一つずつもつボラシレンの反応性をを明らかにする。理論計算の結果、これらの2つのボラシレンのフロンティア軌道準位はアミノ基の有無で顕著に異なることが予測されているため、種々の基質との反応性を検討し、アミノ基が反応性に及ぼす効果を明らかにする。 これらは二種類の隣接軌道と高周期14族元素二重結合との相乗的作用により、小分子に対して高い活性が期待される。 上述のいずれの項目においても得られた結果をさらに理論計算を用いて詳しく解析する。得られた成果は論文にしてまとめて国際化学誌に投稿して公開するとともに、国内外での学会で発表する。
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