研究課題/領域番号 |
21H01930
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大松 亨介 名古屋大学, 工学研究科(WPI), 特任准教授 (00508997)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 双性イオン / 水素原子移動 / 光触媒 / C-H結合変換 / ラジカル / 分子触媒 / 選択的分子変換 / 光レドックス触媒 / 1,2,3-トリアゾール |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、既存法では困難な末端C-H選択的官能基化反応の開拓を目的に、ラジカルの発生制御を担う新規触媒システムの開発を行う。特に、N-ホスフィニルトリアゾリウムアミデートを前駆体とするラジカルカチオン触媒の分子設計と反応位置制御を中心的課題とし、HATに対して活性なC-H結合を有する化合物を基質とした末端C-H選択的変換反応を実現する。構造修飾が容易というN-ホスフィニルトリアゾリウムアミデートの特長を活かし、活性中心周りの空間を効果的に遮蔽できる分子構造を合理的に設計する。また、触媒合成と機能評価を通して、位置選択的なC-H結合変換を実現する触媒分子設計のひとつの指導原理を確立する。
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研究成果の概要 |
双性イオン型トリアゾリウムアミデートの機能を多角的に追究し、高いHAT触媒活性を発揮し得るN-ホスフィニルトリアゾリウムアミデートを開発するとともに、アルキルベンゼンの末端C-Hアルキル化反応を進行させるユニークな性質を発見した。また、反応性の高い官能基存在下における化学選択的C-H結合変換の開発へと研究を展開し、ベンジルフルオリド類のジェミナル二炭素官能基化という新しい分子変換を提案した。さらに、トリアゾリウムアミデートの共役酸が光レドックス触媒との協働によってプロトン還元を実現できることを見出して、異なる2つのC-H結合間でのアクセプターレス脱水素型クロスカップリングを開発するに至った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
有機分子に遍在する炭素-水素結合を切断し、任意の官能基に変換する手法は、持続可能な物質生産の実現に貢献する重要な化学技術である。双性イオン型トリアゾリウムアミデートによる選択的水素原子移動反応は、反応基質に存在する極性官能基を残したまま比較的安定な炭素-水素結合を官能基化できるという特徴をもち、遍在する原料から複雑な化合物を無駄なく合成する道を切り拓いたという点で意義深い。また、分子状水素のみを副生成物として、2つのC-H結合をC-C結合に組み換えるアクセプターレス脱水素型クロスカップリングは、高効率かつ環境負荷の少ない化学合成の実現に資する手法として学術的のみならず実用的に高い価値をもつ。
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