研究課題/領域番号 |
21H01935
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大江 浩一 京都大学, 工学研究科, 教授 (90213636)
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研究分担者 |
岡本 和紘 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (30552658)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | シリレン / ゲルミレン / ホスフィニデン / 複素環化合物 / 遷移金属触媒 / ボリレン |
研究開始時の研究の概要 |
カルベンやニトレン化学に比べて高周期元素活性種の発生法や合成化学的な応用例は限られている。したがって,これら高周期元素活性種の性質の理解を深め,遷移金属との錯化による熱力学的準安定化を伴う移動反応が実現できれば,これまでに類を見ない新物質の創製につながる。RnE: 型不飽和活性種の化学の研究には,熱力学的に安定性の高い前駆体の設計が重要となる。周期表元素の中でも合成化学的見地から見て立ち遅れている原子価結合欠損型元素活性種の新しい発生法と合成化学的応用に関して研究を進める。具体的には環状構造の不飽和度を利用した分子設計と遷移金属触媒によるフラグメンテーションを活用する結合組替え技術を確立する。
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研究実績の概要 |
合成化学的見地から見て立ち遅れているtetrylene活性種について、それらの新しい発生法と合成化学的応用に関して研究を進めた。本研究では、従前の前駆体とは設計指針の全く異なる非天然型α-アミノ酸を基盤とした前駆体の創成と遷移金属錯体との反応による不飽和元素活性種発生法に主眼を置き研究を遂行した。当該年度に行った研究成果は以下の通りである。 1. 非天然型アミノ酸から調製した前駆体を利用したシリレン・ゲルミレン錯体の新規発生法に関する研究 非天然型アミノ酸から誘導されるシリレン・ゲルミレン前駆体としてsiloxazolidone (SOX)およびgermoxazolidone(GOX)の合成法を確立した。また、合成した6種類のSOXの有機溶媒への溶解性と熱的安定性を明らかにした。さらに、6種類のSOXのうち最も熱的安定性の高いSOXcを用いて、第8~10族の遷移金属錯体触媒の存在下、ジインや共役ジエンとのシリレントランスファー反応が進行するか調査した。同様に、GOXの第8~10族の遷移金属錯体との反応性を調査し、ゲルミレントランスファー反応の可能性を探った。 2. trihydrazidotriazine (THT)を基盤としたsilatriazole trimer (STT)の創製 triphenyl cyanulateから調製できるtrihydrazidotriazine (THT)からsilatriazole trimer (STT)の合成法を確立した。シリレン前駆体としての性能を調査し、第8~10族の遷移金属錯体との反応性が乏しいことが明らかとなった。しかし、ジエン共存下、STTを一電子還元剤であるSmI2と反応させたところ、シリレントランスファー反応が進行しジヒドロシロールが得られることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シリレン・ゲルミレン前駆体のsiloxazolidone (SOX)およびgermoxazolidone(GOX)の合成法を確立したが、一部熱的安定性や空気に対する安定性に乏しいものがあり、事実が判明するまでに時間を要した。単離・精製法は確立しつつあり今後スピードアップが期待出来る。また、SOXとGOXのSi-OやGe-Oの結合力が予想以上に強く、遷移金属による活性化によって、望まない結合開裂が生起し、シラノンやゲルマノンの環状オリゴマーが生成することが判明したため。
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今後の研究の推進方策 |
現在新たな前駆体STTを用いて新たな調査を開始し、還元剤との組み合わせでシリレントランスファー反応が進行することを突き止めており、研究計画の若干の修正を行い研究期間中に目標を達成する。
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