研究課題/領域番号 |
21H01942
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分33020:有機合成化学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
野村 琴広 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (20304165)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2021年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | 合成化学 / 有機金属化学 / 分子触媒 / 前周期遷移金属触媒 / 精密合成 / 前周期遷移金属錯体触媒 / 触媒設計 / 精密重合 / オレフィンメタセシス |
研究開始時の研究の概要 |
本課題は、従来の触媒技術では合成できない新規ポリマーの創製や実現できない効率的なオレフィン重合・選択的オリゴマー化を可能とする高性能分子触媒の創製に関する、さらの触媒の特徴を活かした先端高分子機能材料の創製や環境低負荷型の革新的合成法の開発も指向している。特に、申請者の先導的な研究成果を基盤に、高性能(高活性と優れた共重合性、選択性や立体特異性)を発現する前周期遷移金属錯体触媒の創製やその特徴を活かした新規オレフィン系高分子機能材料(極性官能基化ポリマーやバイオベースポリマー、集積型高分子機能材料など)の合成と特性解析、原子効率の高い環境調和型の革新的高性能分子触媒・プロセスの開発に取り組む。
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研究実績の概要 |
本課題は従来技術で合成できない新規ポリマーや効率的なオレフィン重合・多量化を可能とする高性能分子触媒の創製、その特徴を活かした集積型高分子機能材料の創製や環境低負荷型の革新的合成法の開発に関する。2022年度の代表的な研究成果は以下の通りである。 チタン錯体触媒:エチレンと天然に豊富なテルペンの基本単位であるイソプレンとの共重合が進行した。ジエン挿入後にエチレン挿入・環化が進行し、得られるポリマーは従来触媒(Nd, Sc触媒など)で得られるポリマーよりガラス転移温度が高く、優れたエラストマー特性を示した。プロピレンと各種環状オレフィンとの新規共重合体を合成し、ポリマーのミクロ構造解析、熱物性への環構造の影響を明らかにした。環状オレフィンの効率共重合のためのより優れた高性能触媒の合成に取り組み、所定の成果を得た。 ニオブ錯体触媒:環状オレフィンの開環メタセシス重合に極めて高活性を発現する新規ニオブ-アルキリデン錯体触媒を合成し、(今迄成功例のない、低歪みの)シクロオクテンのシス特異的重合が高温で進行した。この種の重合への配位子効果は、関連のバナジウム触媒とは異なり、環状オレフィンに依存し、温度効果が顕著に現れた。 バナジウム触媒:芳香族イミド配位子とフェノキシ配位子、N環状ヘテロカルベン(NHC)配位子を有する各種バナジウム-アルキリデン錯体を合成し、重合で得られるポリマーのシス・トランス特異性やタクティシティー制御への配位子効果に取り組んだ。NHC配位子によるオレフィンの配位制御が重要で、芳香族イミド配位子上の置換基効果が顕著に現れた。PMe3配位子を有するバナジウム錯体触媒によるポリマー鎖を側鎖に有するノルボルネン誘導体のリビング開環メタセシス重合が進行し、使用する配位子により、得られるボトルブラシポリマーのオレフィン二重結合のシス・トランス特異性が制御できることを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請者独自の高性能チタン錯体触媒の特徴を活かした(従来触媒で合成できない)新規ポリマーの合成と構造解析や物性解析の研究、特に報告例の希少な共役ジエンや低歪みの環状オレフィンとの共重合などで所定の成果を発表・論文化し、より優れた高性能触媒の合成や特徴を活かした新規ポリマーの合成にも一部成功している。数多くのインパクトの大きな成果を期間内に達成しており、すでに学会発表済の成果も併せると、研究の展開が大きく可能な状況にある。 また、環状オレフィンの開環メタセシス重合のための高性能バナジウム-アルキリデン触媒やニオブ-アルキリデン触媒の創製に成功し、従来のモリブデンやルテニウム触媒では不可能な、この種の触媒群ではじめて達成できる開環メタセシス重合の開発が可能となった。次年度以降に大きな成果を達成する独自触媒の合成にも所定の成果を得ており、課題がさらに飛躍的に発展する可能性が高い。 以上の成果は、学術論文に加えて、Comprehensive Organometallic Chemistryでの第5族有機金属化学の執筆、関連書籍での章担当、国内外で開催の国際会議でのKeynote・特別講演など、特に海外で高い評価を得ており、今後より秀でた成果として結実する可能性が極めて高い。
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今後の研究の推進方策 |
既に多くの成果を得ていることから、最終年度は今までの成果を基盤にさらに研究を発展させるつもりである。
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