研究課題/領域番号 |
21H01958
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
鈴木 博章 筑波大学, 数理物質系, 教授 (20282337)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | バイポーラ電気化学 / クーロメトリー / 電気化学発光 / 電気化学回路 / ポテンショスタット / 電位制御 / イオン感応膜 / 金属置換 / センサアレイ / マイクロフルイディクス / 界面電位制御 / レドックスサイクリング / 金属置換クーロメトリー |
研究開始時の研究の概要 |
バイポーラ電気化学系、特に「閉じた」バイポーラ電気化学系に基づき、マイクロフルイディクスの手法も取り入れた、新規電気化学回路網を構築する。従来の3電極系電気化学との融合による、ハイブリッド電気化学系の構築も試みる。高密度バイポーラ電極(BPE)アレイの形成、BPE上の界面電位制御、レドックスサイクリングによる高感度化、金属増感クーロメトリーによる高感度化、マトリックス状電極配列による端子数の削減等につき順次段階的に進め、最終的にタンパク質およびDNA検出用センサのアレイ化および高感度検出により、本課題で開発された技術の有効性を実証する。
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研究実績の概要 |
(1) 閉じたバイポーラ系でのアレイ化の推進:21年度の研究で、電極反応が進行するバイポーラ電極(BPE)の両端以外を細いリード線で置き換えることにより、集積化されるセンサ数が大幅に増加できることを示した。22年度はこれを基礎とし、バイポーラクラーク型酸素電極アレイおよび銀置換によりアノード反応を検出する閉じたバイポーラ電極アレイデバイスの作製および評価を進めた。前者は研究がまとまり、投稿準備中である。後者はDNAの一括検出を目指してさらに検討を進める。 (2) BPE上の精密電位制御:22年度までの研究で、電流を流さないポリマーイオン感応膜(ISM)およびBPEの一部を含む電気化学回路によるBPE/溶液間の界面電位差の制御に成功し、BPEのカソード、アノードでの電極反応を自由に制御可能になった。現在、論文としてまとめ、投稿する段階にきている。関連する前報は投稿中であり、引用の関係でこれがacceptになった段階で投稿する。 (3) ハイブリッド式金属置換クーロメトリー:検出感度を向上させるため、閉じたバイポーラ系で検出対象物質を一旦銀に置換し、これをクーロメトリーで測定する方式のデバイスの開発を進めている。22年度は50マイクロメータの電極アレイを銀の析出に用いて測定条件の検討を中心に進め、期待される応答を高頻度で得られるようになった。現在、タンパク質の一括検出に向け、材料、構造、条件の最適化を進めている。 (4) 電気化学回路によるポテンショスタットの作製: 21年度は対極に銀/塩化銀を用い、フェリシアン化カリウムの還元により挙動を解析したが、22年度は対極として亜鉛を用いることにより、より大幅に作用極を分極させ、感度を向上させることができることを確認した。また、対極で銀の還元を起こすことにより、作用極上でアスコルビン酸を酸化させ、信号を得ることができることも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハイブリッド式金属置換クーロメトリックデバイスのアレイ化等、一部未着手の課題はあるが、全般的には計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
全般的には計画通りに進み、幾つかのテーマについては既に目的が達成され、論文を投稿する段階にまできている。23年度は残されている課題、問題点についての検討を進める。 (1) 閉じたバイポーラ系でのアレイ化の推進:銀置換によりアノード反応を検出する閉じたバイポーラ電極アレイデバイスについては、電極活物質の多数のセンシングサイトでの一括検出の検討を行った後、DNAの一括検出を試みる。 (2) ハイブリッド式金属置換クーロメトリーによる高感度化: これまでの研究で原理的な検証は終了しているが、応答値にばらつきが認められたり、検出対象物質によっては応答が小さい場合があるため、現在その原因究明を行っている。問題解決後、タンパク質の高感度検出へと進む。さらに、これを集積化したアレイ型デバイスの実現も試みる。 (3) 電気化学回路によるポテンショスタットの作製: 22年度までの研究で、構想通りに動作することが確認された。23年度は論文としてまとめるためのデータの取得を進めるとともに、このポテンショスタットを用いたpHスタットの実現を試みる。
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