研究課題/領域番号 |
21H01965
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
犬飼 宗弘 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (60537124)
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研究分担者 |
香川 晃徳 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 助教 (70533701)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
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キーワード | 核磁気共鳴 / 超偏極 / 固体NMR / 動的核偏極 / 機能性材料 |
研究開始時の研究の概要 |
目的を達成するために、NMRの信号強度を劇的に向上させることができるトリプレット核スピン偏極(TDNP: Triplet Dynamic Nuclear Polarization)を利用し、「高分解能TDNP NMR装置の開発」および「TDNPの機能性材料への応用」を行う。室温で超高感度かつ高分解能スペクトルを取得できる固体NMR計測基盤を確立し、室温で機能が発現している材料へ応用することで、新たな構造や運動を明らかにし、材料・分子設計に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究の最終目的は、機能性材料や生体分子の超高感度・高分解能NMRスペクトルを室温で取得できる手法・装置開発と応用である。今年度に実施した内容は、共結晶法による生体分子の超偏極、およびにB.高分解能トリプレットDNP NMR装置の開発である。 具体的には、Aに関しては、2種類の分子が水素結合やπ-π相互作用で組み上がる共結晶に注目し、サリチルアミドやアセトアミノフェンなどの薬の室温超偏極に取り組んだ。安息香酸とサリチルアミド、ナフタレンとアセトアミノフェンから組み上がる単相の共結晶が得られていることを粉末X線回折から確認した。研究分担者の香川助教とともにトリプレットDNP実験を実施し、どちらの共結晶においても100倍を超える1Hの超偏極信号を確認した。固体NMRを用いて共結晶内部のマイクロ構造の詳細を調べ、結晶内で偏極が十分に拡散していることを確認した。加えて、偏極後に溶解し、高磁場で溶液NMR信号を取得する溶解トリプレットDNPも実施し、サリチルアミドの高感度化された溶液NMRの信号取得に成功した。 Bに関しては、R3年度とは異なるタイプの室温超偏極試料を高分解能で測定できる装置(特殊試料管とNMRプローブ)を開発した。試料を高速回転させながら、レーザー照射とMW照射を可能とする装置であり、従来法と比較して、高レートのレーザー照射による偏極率の向上が期待できる。R4年度は装置の組み上げ、試料の高速回転とMW共振を確認し、コンセプトの妥当性を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
共晶法に加え、共結晶法のトリプレットDNPに成功しており、代謝分子プローブや低融点な低分子への応用展開が可能となってきた。一方、高分解能トリプレットDNP NMR装置の開発は、サファイア特殊回転試料管の破損などが原因となり、トリプレットDNP実験の実施には至っておらず、進捗は芳しくない。
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今後の研究の推進方策 |
共晶法、共結晶法、混晶法とこれまでに見出した手法を駆使して、生体分子や機能性材料の室温DNPに取り組んでいく。高分解能トリプレットDNP NMR装置開発に関しては、サファイア特殊回転試料管の破損、また長い納期期間が課題となり、進捗が芳しくない。今年度は、サファイア管は使用せず、市販のジルコニア試料管に対応した高分解能トリプレットDNP NMR装置開発を開発して、目的を達成する。
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