研究課題/領域番号 |
21H01968
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34020:分析化学関連
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
梅村 知也 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (10312901)
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研究分担者 |
安井 隆雄 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00630584)
中嶋 秀 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (10432858)
手嶋 紀雄 愛知工業大学, 工学部, 教授 (30292501)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | ナノワイヤ / MALDI / SALDI / 酸化亜鉛 / TLC / レーザー脱離イオン化 / マトリックスフリー / 超薄層クロマトグラフィー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、酸化亜鉛ナノワイヤによって創出される様々な機能を活用して、分離や精製、濃縮など分析に不可欠な化学操作を1枚のプレート上で行えるオンプレート型分離計測デバイスを開発し、臨床の現場でも実用可能な質量分析技術を確立することを目指している。
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研究実績の概要 |
本研究は、酸化亜鉛ナノワイヤ特有の性質を活かして、分離や精製、濃縮など分析に不可欠な化学操作を1枚のプレート上で行うためのオンプレート型分離計測デバイスを開発し、臨床等の現場において実用可能な質量分析技術を確立することを目指している。本年度は、酸化亜鉛ナノワイヤプレート表面の化学修飾に加え、3Dプリント技術を駆使して、プレート上に枠や仕切りなど物理的な障壁を構築し、滴下した試料の拡がりや展開溶媒の流れの制御を試みた。具体的な成果は以下の通りである。まず、物理的な壁によって強制的に拡散を抑制する本法では、フレーム表面への試料成分の吸着やフレームからの化学成分の溶出(コンタミネーション)の問題が危惧される。そこで、フレームを構成する光硬化性樹脂の影響を詳細に調査した。適切な樹脂を選択し、硬化後に十分に洗浄することで、吸着によるロスやフレームからの化学物質の溶出は実用レベルにおいてまったく問題ないことを確認した。続いて、色素試料を用いてフレーム内での試料の拡がり具合を観察し、フレームの設置によりコーヒーリング効果(局在化)が解消されることを確認した。質量分析イメージングの結果でも、フレーム内のすべての位置で均一な信号強度が得られており、フレームの設置は感度と再現性の向上に有効であることを実験的に示した。最後に、本技術を血中薬物濃度の迅速分析に応用した。血液中の薬物はタンパク質に結合した状態で存在しており、タンパク質結合体としての薬剤のイオン化効率は極めて低い。そこで、酸化亜鉛ナノワイヤプレート上でタンパク質に結合した薬剤を解離させ、さらにTLC展開により薬剤とタンパク質との分離を試みた。メタノールを解離、抽出、展開のための溶媒として用いることで、タンパク質から解離させた薬剤を感度よく測定することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの2年間において、二官能性のホスホン酸誘導体を用いて酸化亜鉛ナノワイヤ表面の改質を図るとともに、静電的な引力や斥力、疎水性相互作用を利用してナノワイヤプレート上に目的物質を選択的にトラッピングしたり共存物質を選択的に除去したりする技術を開拓してきた。さらに、3Dプリント技術を駆使して、プレート表面上に枠を設けて溶液試料の動きを制御することにも成功している。現在、血中薬物の迅速分析や組織のイメージング分析を試み、本プレートの実用可能性を検証する段階にあり、順調に研究は進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、上記の検証研究の結果を踏まえてさらに改善を図り、真に実用可能な分析デバイス・システムを開発することを目指す。具体的には、社会的な関心とニーズの高い以下のテーマを中心に研究に取り組む。 1) 酸化亜鉛ナノワイヤプレートを用いた血中・尿中薬物濃度のハイスループット分析技術の開発 2) 酸化亜鉛ナノワイヤプレートを用いた組織切片の三次元質量分析イメージング法の開発
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