研究課題/領域番号 |
21H01974
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
間瀬 暢之 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (40313936)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
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キーワード | グリーンものづくり / ファインバブル / ウルトラファインバブル / 新奇特殊反応場 / FB手法の集積化 / グリーンケミストリー / マイクロバブル / 多相系反応 |
研究開始時の研究の概要 |
気体が関与する反応効率向上が1世紀以上続けられ、その多くは耐圧反応容器による高圧方式である。この常識を打破するために、通常の気泡とは異なる新奇な性質をもつファインバブル(FB)に着目し、安全かつ革新的な次世代型気液合成プロセスを追究してきた。しかし、原理の異なる手法で発生したFBと化学反応性や溶存気体過飽和過程の関係など、FB化学の原理原則となる未解明課題が山積する。本研究では、これらの課題解明とともに、消えてなくなる新奇特殊反応場を活用した反応開発、ならびにFBものづくりプロセスの確立を図る。これにより日本発の新技術を学術的かつ産業的に深化し、持続可能製造化学プロセスのグリーン化に貢献する。
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研究実績の概要 |
ファインバブル(FB)発生法はトップダウン法とボトムアップ法の2種類に大別される。気泡の剪断により分割、そして収縮により生成したナノサイズのウルトラファインバブル(UFB)と、加圧溶解した気体を減圧することにより生成したUFBは同一だろうか?さらに、マイクロサイズのマイクロバブル(MB)やUFB存在下での過飽和過程は同一だろうか?というFB化学を理解して使いこなすための原理原則を解明する必要がある。また、消えてなくなるFB界面を新奇特殊反応場として活用できるか?さらに、導入・除去が容易な気体の関与する反応を次世代ものづくりに活用できるか?の問いに対して、界面化学とプロセス化学を深化させる必要がある。本研究課題では、代表的な発生法により生じたFBの物性と反応性を系統的に評価するとともに、消えてなくなる新奇特殊反応場を活用した反応開発、ならびにFBものづくりプロセスの確立を目的とした。 2021年度に、「1.FB化学を理解して使いこなすための原理原則」として、「1-1.各FB発生法におけるFBの物性評価」と「1-2.各FB発生法における反応性評価」に取り組み、MBとUFBの個数濃度とサイズ分布を定量化し、均一系光励起酸化反応と不均一系水素添加反応におけるFB効果を明らかにした。2022年度に「2.界面での有機合成:消えてなくなる新奇な特殊反応場」として、「2-1.FB界面で発生する短寿命活性種」と「2-2.FB界面選択的マイクロ波活性化反応の開発」に取り組み、反応装置の開発を終えたものの、想定した新奇特殊反応場への適用が達成できなかった。そのため、「3.フィンバブルグリーンものづくりプロセスの開発」として、「3-1.FBフロー手法による多相系フロー反応の深化」と「3-2.FBフロー手法の集積化によるグリーンものづくり」に取り組み、フェアリー化合物中間体の2段階合成を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度では、プロジェクトの第一段階として「1.FB化学を理解して使いこなすための原理原則」を達成した。これにより、FB化学の基本概念やメカニズムに関する知識が深まった。続いて、2022年度に「2.界面での有機合成:消えてなくなる新奇な特殊反応場」の開発に取り組んだ。この段階では、独自の装置を開発することに成功し、実験環境を整えることができた。しかし、残念ながら想定していた反応がごく微量にしか進行せず、まだ十分な成果を得ていない。現在、引き続き反応条件や試薬の最適化を検討しており、これにより新たな反応メカニズムの開拓を目指している。一方で、「3.フィンバブルグリーンものづくりプロセスの開発」においては、フェアリー化合物重要中間体の短段階合成を達成した。これにより、合成効率の向上や環境負荷の低減が期待できる。さらに、このプロセスの応用範囲を広げることで、より多様な化合物の合成や実用化が可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
2022~2023年度に実施予定である「2.界面での有機合成:消えてなくなる新奇な特殊反応場」では、以下の2つのサブテーマに取り組むことで、新たな反応開発を目指す。 「2-1.FB界面で発生する短寿命活性種」では、FB界面で生成される短寿命の活性種(主にラジカル)を活用し、芳香族化合物の水酸基化を実施する。これにより、従来の方法では困難だった反応を効率的に行うことができる。この過程で、短寿命活性種の生成メカニズムや反応性に関する理解も深まることが期待される。 「2-2.FB界面選択的マイクロ波活性化反応の開発」では、マイクロ波の界面選択的加熱特性を利用して、FB界面での化学反応の促進を試みる。これにより、反応の選択性や効率を向上させることができる。また、マイクロ波活性化の条件や手法の最適化により、幅広い化学反応への適用が可能となる。 さらに、「3.フィンバブルグリーンものづくりプロセスの開発」では、以下の2つのサブテーマに取り組み、環境調和型フェアリー化合物の合成に挑戦する。 「3-1.FBフロー手法による多相系フロー反応の深化」では、FBフロー手法を用いて、多相系フロー反応の制御や深化を試みる。これにより、より高度な制御が可能な反応系を開発し、環境負荷の低減や効率の向上に貢献する。 「3-2.FBフロー手法の集積化によるグリーンものづくり」では、FBフロー手法を集積化し、小型化や効率化を実現する。これにより、グリーンものづくりの実用化が前に進み、産業界や環境保全に貢献することが期待される。
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