研究課題/領域番号 |
21H01975
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分34030:グリーンサステイナブルケミストリーおよび環境化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 旭 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (30769443)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
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キーワード | 光熱変換 / 温度計測 / 二酸化炭素変換 / 金属ナノ粒子 / 触媒 / 金属ナノ粒子触媒 / 太陽光エネルギー / メタン / 改質反応 / 温度勾配 / ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
可視・近赤外光による光加熱により,高温状態となった金属ナノ粒子を触媒反応サイトとして化学ポテンシャルの高い化合物を合成することにより,太陽エネルギーを化学エネルギーに変換できる.本研究では,太陽光利用を指向して,可視・近赤外光の加熱作用を利用した高効率な二酸化炭素の資源化反応の開発と高活性化に取り組む.放射光X線分析などの各種分析手法を用いて,光照射下での反応中における反応容器内部の触媒の温度計測系の構築を行う.触媒材料設計と触媒部の温度測定技術を両輪として,触媒の温度分布の制御法を確立し,その最適化による反応系の高活性化を達成する.
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研究実績の概要 |
本研究では太陽光エネルギーを利用し二酸化炭素を有用化合物へ変換する触媒反応系の開発を目的として,二酸化炭素とメタンから化学原料として有用な合成ガス(水素と一酸化炭素)へと変換するドライリフォーミング反応に関する研究を中心として実施した.本研究では太陽光エネルギーを利用し二酸化炭素を有用化合物へ変換する触媒反応系の開発を目的として,二酸化炭素とメタンから化学原料として有用な合成ガス(水素と一酸化炭素の混合ガス)へと変換するドライリフォーミング反応に関する研究を中心として実施した.2年目となる2022年度では,Xeランプの集光光照射下において高い活性および耐久性を有する触媒開発を実施し,ニッケルとコバルトの合金ナノ粒子触媒が高い性能を持つことを見出した. また,昨年度に実施した大型放射光施設SPring-8でのX線分光法による金属ナノ粒子の温度計測法についても検討を継続した.既報ではスペクトル解析により得られる温度因子をナノ粒子の温度の指標として用いられてきたが,本研究では温度とスペクトルの強度との関係に注目し,スペクトルの強度を温度の指標として用いることができること実証し,原著論文として報告した.本手法は既報のものと比較して簡便であることが特徴であり,今回実施した条件では見積もられる温度の誤差も小さいことがわかった.また,集光した光照射下でのメタンの水蒸気改質反応に関する検討も実施し,光照射下で形成される温度勾配が反応物の選択率を変化させることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き光照射下でのドライリフォーミング反応に有効な触媒材料の開発と温度測定系の構築を実施した.触媒材料開発では,ニッケルとコバルトの合金ナノ粒子触媒が高い触媒性能を持つことを見出し,これまでに検討してきた典型的な含浸法により調製した材料よりも大幅に高い活性および耐久性を得ることに成功した.また,反応系中で形成される温度勾配と触媒活性との関係についても知見を得ることができた.X線を用いた温度計測法については,昨年度に引き続き検討を継続し,金属ナノ粒子の温度を測定することに成功した.また,集光した光を用いたメタンの水蒸気改質反応に関する検討も開始し,光照射下で形成される温度勾配が反応物の選択率を変化させることを明らかにした.以上より,研究は概ね順調に進行していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度については,昨年度に見出したニッケルとコバルトの合金ナノ粒子触媒を用いたドライリフォーミング反応における触媒調製条件と反応条件の最適化によりその性能について評価を実施することを計画している.また,光照射下で形成される温度勾配と触媒活性との関係については明確でないため,材料側の物性を変化させることにより系統的な検討を実施し,これを明らかにすることを計画している.加えて,温度勾配を有する反応場を利用したメタンの水蒸気改質反応については触媒活性と反応選択率の両方に注目して触媒材料の開発を実施する予定である.
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