研究課題/領域番号 |
21H01985
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分35010:高分子化学関連
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
出羽 毅久 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70335082)
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研究分担者 |
近藤 政晴 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20571219)
長澤 裕 立命館大学, 生命科学部, 教授 (50294161)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 光合成 / 光収穫系複合体 / 超高速エネルギー移動 / バイオハイブリッド / バイオハイブリッド光収穫系 / 光収穫系 / LH2 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、人工色素とのバイオハイブリッドLH2を作成し、(1)蛍光色素による吸収波長帯の拡張と、サブピコ秒の単一速度成分での超高速エネルギー移動系の構築と評価、(2)カロテノイド類を利用した多段階エネルギー移動系の構築、(3)バイオハイブリッドLH2による太陽光吸収でのエネルギー変換を行う。本研究により、天然の励起エネルギー移動系を拡張した新規のエネルギー移動系の構築と、より高い量子収率を有するバイオハイブリッド光収穫系を創製し、人工光合成分野を含む新たな光収穫材料の創製への設計指針を示す。
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研究実績の概要 |
紅色光合成細菌由来の光収穫系複合体(LH2)に蛍光色素を付加した諸種のバイオハイブリッドLH2を作成した。分子生物学的手法により蛍光色素の結合位置となるシステインをLH2αポリペプチドに導入した変異体を6種類作成した。(1) LH2リング内部でB850バクテリオクロロフィル近接する位置に結合位置を導入したもの(2種類)、(2)B850のリング上部から近接する位置(3種類)、(3) B800バクテリオクロロフィルに近接する位置(1種類)。(1)については前年度にエネルギー移動速度を計測し、サブpsから3 psでのエネルギー移動が起こっていることが確かめられた。今年度は(2)のうち1種類についてエネルギー移動速度を計測したところ、ドナーアクセプター間の距離が(1)に比べて長いにも関わらず、(1)と同程度のエネルギー移動速度を示した。このことから、ドナーとなる蛍光色素の位置が少し変化しても、蛍光色素とB850間の強い結合が保たれることにより、サブpsのエネルギー移動を達成することが可能となると考えられた。(3)については蛍光色素ーB800ーB850の連続的なエネルギー移動経路によるダイナミクスを観測することを目的とした。実際計測したところ、蛍光色素からB800へのエネルギー移動は約300fsで起こっており、その後B850へは1-7psでエネルギー移動していた。現在詳細なキネティクスモデルにより詳細な機構を調べている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目的としていたLH2変異体の作成も順調に進み、バイオハイブリッド体の作成およびフェムト秒過渡吸収計測も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度作成した(2)B850のリング上部から近接する位置(3種類)のうち、残り2種のバイオハイブリッド体のエネルギー移動計測を行い、蛍光色素(エネルギードナー)の位置とエネルギー移動速度との関係を明らかにする。(3)についての連続的なエネルギー移動系の解析を同時に進め、より高速のエネルギー移動系であることを明らかにする。さらに、計算科学による理論計算から、観測されたエネルギー移動がどのようなメカニズムにより起こっているのかを明らかにする。
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